2022 Fiscal Year Research-status Report
人工知能を用いた大動脈弁狭窄症の自動診断システムの開発
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22K20876
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水口 賢史 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (30962154)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 心音 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始から現在までの症例登録数は50例であり、心エコー検査と心電図付電子聴診器を用いた聴診所見の同時記録を行っている。研究計画時点では、心エコー検査の大動脈弁狭窄症(AS)重症度の最終判定と、聴診所見の最終判定との比較を予定していたが、本研究プロトコールを改めて見返すと、心エコー検査と聴診所見の取得を同時記録しており、またどちらも心電図記録を併用していることから、1心拍毎のAS重症度の比較検討が可能であることを発見した。1心拍毎の比較検討を行うための具体的な方法を模索しながら、研究環境を再構築した。現時点では症例登録段階であり、学術的に有益な知見を得られる段階にはないが、上記環境の構築は本研究遂行における大きな進歩の一つと考えられる。また、研究計画段階では、1症例あたり15秒(15~20心拍)の記録で十分と考えていたが、上記のように心拍毎の比較を想定すると、より多いほうが良いと考えられ、記録時間を30秒(30~40心拍)へ延長するプロトコール変更を行った。そのほか、最終目標であるスマートフォンに実装した大動脈弁狭窄症の判定プログラム作成に関しては、症例登録と並行してプログラム作成を開始している。第一段階としては高性能ワークステーションパソコン上で精度よく判定できるプログラムの作成を行い、計算コストの確認を行う予定である。その後スマートフォンで処理可能な計算コストまで軽量化を行い、スマートフォン上での実装を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は心エコーと聴診所見の同時記録を行うことで、より精度の高い人工知能プログラムを作成できると考えプロトコールを設計した。しかしながら昨今の事情で心エコー件数が減少傾向にあり、症例登録数は予定よりもやや遅れている印象である。しかし症例登録はコンスタントに続けており、症例数も増加しているため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
目標症例数は当院で実現可能性のある最大数を設定しており、目標値よりも下回ってしまっているが、1症例あたりのエコーおよび聴診所見の記録長を伸ばすことにより、1症例あたりの得られる情報量をオーグメンテーションすることが可能である。具体的にはプロトコール設計時は15秒のエコー・聴診所見の記録を予定していたが、現在は30秒の記録に変更しており、1心拍毎にエコー評価と聴診所見を対比し、機械学習に落とし込むことで、症例不足を解決できる可能性がある。
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Causes of Carryover |
R4年度は新型コロナウイルス感染症の影響をうけて、心エコー室への研究目的の立ち入りが制限され、また患者との接触時間も最低限にする理由から、予備実験で使用していた電子聴診器を用いて症例登録を継続したため、R4年度の予算として計上していた物品の購入に至らなかった。R5年度は新型コロナウイルス感染症が5類へ変更され、エコー室等の立ち入りの制限もなくなることから、より大人数での研究の遂行が可能であり、R5年度に物品費やデータ入力支援、人工知能構築のための高精度ワークステーション、スマートフォンアプリ検証のためのスマートフォンの購入を予定している。
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