2022 Fiscal Year Research-status Report
白質脳症をきたす変異型TREX1によるDNA損傷毒性誘導機序とその抑制分子の解明
Project/Area Number |
22K20882
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
安藤 昭一朗 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10918428)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 脳小血管病 / RVCL / TREX1 / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、Retinal vasculopathy with cerebral leukoencephalopathy(RVCL)疾患変異TREX1による細胞毒性を低減するヒト遺伝子種を同定することである。この背景には、RVCL疾患変異TREX1が、DNA切断損傷を誘導し、細胞毒性を引き起こすことがある。 RVCLショウジョウバエモデルを用いた、RNAiスクリーニングで見出した、表現型抑制遺伝子4種のヒトホモログ遺伝子が、RVCLヒト細胞モデルにおいて細胞毒性を抑制し得るかを検討した。 まず、HEK293細胞株を対象に、Flp-in systemを用いて、RVCL疾患変異であるp.Val235GlyfsTer6(V235fs)ヒトTREX1遺伝子を挿入し、RVCLヒト細胞モデルを作製した。このモデル細胞はドキシサイクリン誘導性に変異TREX1を発現する。 次に、このモデル細胞に、表現型抑制候補遺伝子のshort hairpin RNA(shRNA)をレンチウイルスベクターを用いて導入した。shRNAによる遺伝子発現抑制効果は、droplet digital PCR(ddPCR)によって発現量解析を行った。いずれの遺伝子も発現抑制できていることを確認した。 そして、このshRNAを導入したRVCLヒト細胞モデルを対象に、ToxiLight bioassayを用いて、表現型抑制候補遺伝子の抑制により、RVCL疾患変異TREX1による細胞毒性が低減するか検証した。結果、候補遺伝子4種のうち、2種の遺伝子において、ネガティブコントロールと比較して、shRNA導入群での細胞死率が低下した。従って、これらの2遺伝子が、ヒト細胞においてもRVCL疾患変異TREX1の細胞毒性を低減させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RVCLヒト細胞モデルの作製とshRNAによる目的遺伝子の発現抑制は円滑に進み、細胞毒性緩和効果の検証実験に移行することができた。 結果、ショウジョウバエモデルで見出した表現型抑制候補遺伝子4種から、ヒト細胞でも細胞毒性を低減し得る遺伝子の候補を2種に絞ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
RVCLヒト細胞モデルの細胞毒性を低減し得る候補遺伝子2種について、その他の細胞毒性アッセイでも評価をする。 また、細胞毒性低減の機序として、RVCL疾患変異TREX1によるDNA損傷の緩和が起きているか検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により学術集会への参加が制限されたこと、また、実験消耗品について所属研究室に既存するものを使用したため、次年度使用額が生じた。 次年度の実験試薬の購入に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)