2022 Fiscal Year Research-status Report
オシメルチニブと免疫チェックポイント阻害薬による薬剤性間質性肺炎の病態解明
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22K20889
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坪内 和哉 九州大学, 大学病院, 助教 (60961927)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 薬剤性間質性肺炎 / オシメルチニブ |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤を含む多くの薬剤には、有害事象として肺障害があり、その障害を受ける部位が 主に肺胞および間質領域であるものを、一般的には薬剤性間質性肺炎とよんでいる。 肺癌の予後改善に大きな役割を果たしている薬剤に、上皮成長因子受容体(epithelial growth factor receptor: EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬があるが、一定頻度で薬剤性間質性肺炎を発症し、致死的な転機を取ることがあるため、病態解明が求められている。薬剤性間質性肺炎の病態解明が困難な理由としては適切な動物モデルの作成が難しい点にある。 今回我々はEGFRチロシンキナーゼ阻害薬で現在もっとも使用されているオシメルチニブによる薬剤性間質性肺炎モデルを作成し、発症メカニズムを解明することを目的とした。 ナフタレンをマウスに腹腔内投与し、細気管支上皮を一時的に脱落させ、オシメルチニブを14日間経口投与したところ、コントロール群、オシメルチニブ単剤投与群やナフタレン単剤投与群ではみられない肺障害を誘導することができた。マウスより気管支肺胞洗浄液を回収し、細胞数およびDiff Quick法での細胞分画を確認すると、通常は洗浄液中の細胞はマクロファージがほとんどを占めるが、ナフタレンとオシメルチニブを投与したマウスでは総細胞数とリンパ球数の増加、およびリンパ球の割合の増加を認めた。実臨床で経験するオシメルチニブによる薬剤性間質性肺炎症例の気管支肺胞洗浄液でもリンパ球の割合が上昇しており、今回作成したモデルはオシメルチニブによる肺臓炎モデルとして評価することができるモデルであると考えられた。マウスの気管支肺胞洗浄液をフローサイトメトリーで評価すると、CD4陽性リンパ球の増加を認めていた。今後は誘導されたリンパ球の評価および誘導メカニズムについて詳細に検討を続けていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルの作成には成功しているが、まだリンパ球の解析が十分ではない。 一匹のマウスから回収できる気管支肺胞液は少なく、その中に含まれる細胞は少量であるため、検討を詳細に行うには、複数回の実験を要するため、時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ球性の肺障害を誘導することに成功したため、誘導されたリンパ球の解析および誘導メカニズムに着目して解析を進めていく。 また同一の細胞がヒトの気管支肺胞洗浄液中にも誘導されているのかをフローサイトメトリーもしくはマスサイトメトリーを用いて確認する。 マウス実験としては、免疫チェックポイント阻害薬との併用実験を予定している。
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Research Products
(1 results)