2022 Fiscal Year Research-status Report
TRPM8チャネルとカハール介在細胞による消化管蠕動制御の検討および臨床応用
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22K20899
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
杉野 敏志 朝日大学, 歯学部, 助教 (50967388)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 腸管蠕動 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚が15℃の水の温度を感じる時と、ミントオイルの清涼感、これらを感じる時の神経の伝達路が同じであることが報告された(DE Clapham. Science, 2002)。また大腸内視鏡検査時、ミントオイルの主成分であるl-メントール製剤を腸内に散布することで腸管蠕動を抑制する可能性が報告されている(Inoue et al. Endoscopy. 2014, 46:196-202)。さらにラットとTRPM8欠損マウスの近位結腸の蠕動モデルを用いて、大腸へ5℃の水を投与することでTRPM8チャネルが活性化し大腸蠕動運動の減少につながることを示した(杉野ら. J Neurogastroenterol Motil. 2022, 28:693-705)。複数のTRPチャネルが関連すると考えられる消化管蠕動で低温によるTRPチャネルの活性化が消化管蠕動を制御するメカニズムはいかなるものか、低温という新たな蠕動抑制の手段が実臨床で有用であるか。これらが本研究課題の核心をなす問いである。これらの成果を発展させ小腸蠕動のメカニズムを解明するため、消化管内視鏡より回腸末端に15℃の水を患者の消化管粘膜に直接散布することで腸管蠕動に変化が生じるか前向きの無作為化比較試験を開始している。15℃と室温水の消化管内局所投与で2群にランダムに振り分けを行い、録画で局所投与の前後での消化管蠕動を評価する計画を立てた。当院での倫理委員会の承認を得て現在症例の集積を開始している。今後両群を比較し低温における小腸蠕動抑制を臨床試験で確認し、ラットおよびノックアウトマウスを用いた基礎研究で小腸蠕動のメカニズムを解明することを計画している。本研究によりTRPチャネルを介した消化管蠕動抑制のメカニズムが明らかになる可能性があり、それにより消化管内視鏡における新たな消化管蠕動抑制の手段の開発に寄与する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在小腸蠕動に対する低温の影響を精査するため、回腸末端に低温水を散布し腸蠕動の変化を観察する臨床研究について当院における倫理委員会の承認を得たうえで、研究を開始している。現在症例集積中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の臨床研究の症例集積をすすめ、解析する予定である。低温における小腸蠕動抑制を臨床試験にて確認できたうえで、ラットおよびノックアウトマウスを用いた基礎研究にて小腸蠕動のメカニズム解明につなげることを計画している。
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Causes of Carryover |
臨床研究における症例集積を進めるため、録画機材を追加購入し、得られたデータを解析し論文投稿および海外学会発表とするための費用に充てる。
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