2023 Fiscal Year Annual Research Report
Impact of cranberry juice on urinary microbiome
Project/Area Number |
22K20901
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
赤川 友布子 関西医科大学, 医学部, 研究医員 (70714880)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 尿中細菌叢 / クランベリー |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】クランベリージュースの摂取は過活動膀胱や繰り返す尿路感染症の予防に有効であることが以前から報告されているがその作用機序は明らかではない。一方近年、過活動膀胱を有する患者では尿中細菌叢の乱れ(dysbiosis)をきたしていることが報告され今後の治療標的として着目される。本研究では「クランベリージュースの継続的摂取により尿中細菌叢が変化する」という仮説を明らかにすることを目的とする。 【方法】健常成人40名を対象に、クランベリージュースおよびプラセボを用いて2週間ごとのクロスオーバー試験を行った。尿検体をクランベリージュースおよびプラセボ摂取開始前と摂取2週間後、試験終了2週間後の計5回採取した。尿検体から細菌DNAを抽出し、NGSを用いて16S rRNA解析を実施した。尿中細菌叢の多様性、細菌の構成割合を算出し、摂取による尿中細菌叢の変化について検討した。 【結果】健常成人40名について(男性19名、女性21名、年齢中央値に有意差なし)、クランベリージュース摂取によって、女性の尿中細菌叢でLactobacillusが増加し、摂取を中止すると元のレベルへ戻ることが明らかとなった。男性の尿中細菌叢構成は、クランベリージュース摂取によって変化しなかった。また、尿中細菌叢の多様性はクランベリージュース摂取によって男女ともに変化しなかった。 【考察と結論】今回、クランベリージュース摂取によって健康成人女性の尿中細菌叢の構成が変化することが明らかとなった。クランベリーにはプロアントシアニジンおよびキナ酸が含まれており、それぞれ尿路における細菌の付着阻害作用をおよび尿pHの低下作用を有しているため、尿中細菌叢の菌構成を変化させた可能性が考えられる。本研究の成果は、将来的に尿中細菌叢をターゲットとした疾患の発症予防や治療法の開発に繋がる重要な一歩であると考える。
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