2023 Fiscal Year Annual Research Report
石灰化病変における発生学的細胞起源と分化制御機構の解明
Project/Area Number |
22K20917
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩瀬 晃康 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (10965130)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 石灰化病変 / 心臓発生学 / 神経堤細胞 / シングルセルRNA-seq / シングルセルATAC-seq / CARTA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、平滑筋細胞や間質細胞といった細胞種を起点とした従来の石灰化病態形成の概念を拡張させ、神経堤細胞やその他の心臓前駆細胞を含めた発生学的起源や領域の多様性に基づく病態形成メカニズムを明らかにすることを目的としている。研究期間全体を通じて、ワーファリンを用いた石灰化病態モデルマウスにより石灰化病変形成までの時空間的な組織学的解析を行なった。その結果、石灰化病変が大動脈外膜から生じ始め、徐々にその領域が拡大すること、それに伴い、血管平滑筋マーカーが本来と異なった配向性を示すことが明らかとなった。さらに、神経堤細胞を標識するWnt1-Cre; R26-EYFPマウス、二次心臓領域由来細胞を標識するIslet1-Cre; R26-EYFPマウスなどの遺伝子改変マウスに石灰化病態を誘導することで各起源の石灰化への寄与が明らかになってきた。特に冠動脈平滑筋に生じる石灰化はある発生学的細胞起源の分布と類似したパターンを持つことが示された。また、in silico解析ではシングルセルATAC-seqデータから任意の転写因子と標的遺伝子の間のエンハンサー様候補を同定するCARTAアルゴリズムを開発し、胎生期の心臓を用いたシングルセルマルチオームRNA/ATAC-seqデータに適応した。その結果、平滑筋細胞と非筋間葉系細胞を区別するマーカー遺伝子とそのエンハンサー、特に軟骨形成に重要な役割を果たすSox9のエンハンサー様領域を同定し、神経堤細胞株であるO9-1細胞を用いたLuciferase Assayによりエンハンサー活性を認めた。さらに公共のヒト冠動脈硬化検体のシングルセルATAC-seqデータを解析すると、同エンハンサーがヒト冠動脈石灰化病変でも関与していることが示唆された。以上の成果は細胞起源に着目した発生学を基盤にした病態形成メカニズムの解明が期待されるものとなった。
|
-
-
-
[Presentation] 縦隔内マクロファージの多様性を生み出す分化制御機構の解析2023
Author(s)
岩瀬晃康,来田真友子,内島泰信,田口明糸,加藤洋人,関真秀,石川俊平,鈴木穣,和田洋一郎,栗原由紀子,宮川-富田幸子,栗原裕基
Organizer
2023年度「先進ゲノム支援」拡大班会議
-
-
[Presentation] シングルセルマルチオミクスを用いた心血管発生学と病態形成の共通性2023
Author(s)
岩瀬晃康,内島泰信,瀬谷大貴,来田真友子,東山大毅,松居一悠,田口明糸,山本尚吾,福田史朗,野村征太郎,興梠貴英,宿南知佐,秋山治彦,関真秀,鈴木穣,和田洋一郎,油谷浩幸,栗原由紀子,宮川-富田幸子,栗原裕基
Organizer
第46回日本分子生物学会
-
[Presentation] シングルセルマルチオミクスを用いた多細胞連関による心血管システム構築2023
Author(s)
岩瀬晃康,内島泰信,瀬谷大貴,来田真友子,東山大毅,松居一悠,田口明糸,山本尚吾,福田史朗,野村征太郎,興梠貴英,宿南知佐,秋山治彦,関真秀,鈴木穣,和田洋一郎,油谷浩幸,栗原由紀子,宮川-富田幸子,栗原裕基
Organizer
第96回日本生化学会大会
Invited
-
-
[Presentation] シングルセルマルチオミクスと空間情報に基づく心臓神経堤細胞の血管/非血管細胞への分化運命決定機構~発生学的起源から病態を考える~2023
Author(s)
岩瀬晃康,内島泰信,瀬谷大貴,来田真友子,東山大毅,松居一悠,田口明糸,山本尚吾,福田史朗,野村征太郎,興梠貴英,宿南知佐,秋山治彦,関真秀,鈴木穣,和田洋一郎,油谷浩幸,栗原由紀子,宮川-富田幸子,栗原裕基
Organizer
第55回日本動脈硬化学会
Invited
-
[Presentation] Single-cell multi-omics and spatial transcriptome analyses of fate determination mechanisms during cardiac development2023
Author(s)
Akiyasu Iwase,Yasunobu Uchijima,Daiki Seya,Mayuko Kida,Hiroki Higashiyama,Kazuhiro Matsui,Akashi Taguchi,Shogo Yamamoto,Shiro Fukuda,Seitaro Nomura,Takahide Kohro,Chisa Shukunami,Masahide Seki,Yutaka Suzuki,Youichiro Wada,Hiroyuki Aburatani,Yukiko Kurihara,Sachiko Miyagawa-Tomita,Hiroki Kurihara
Organizer
第22回東京大学生命科学シンポジウム