2022 Fiscal Year Research-status Report
患者由来オルガノイドを用いた早期膵癌のバイオマーカー探索
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22K20920
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
辻前 正弘 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (70961712)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 膵癌 / 早期膵癌 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は膵癌を中心とした難治癌の克服を目指し、その予防法および超早期診断法の開発をおこなっている。膵癌は正常膵管上皮から軽度異型膵上皮内腫瘍性病変, 高度異型膵上皮内腫瘍性病変(早期膵癌)を経て、浸潤性膵管癌に段階的に癌化すると考えられている 。膵癌の予後改善には早期診断・早期治療が必須であるが、その早期診断率は極めて低く、早期膵癌検体の希少性自体が病態解明の大きな制約となってきた。一方、我が国では卓越した内視鏡技術を用いた早期膵癌の診断が行われるようになり、世界に先駆けてその臨床像が明らかとされつつある 。 オルガノイド技術は、体内から取り出した細胞をin vitroで機能的な3次元細胞株として培養維持する方法である。Satoらによって樹立された組織幹細胞由来腸オルガノイド以来、膵臓を含むオルガノイドモデルは難治癌研究において大きく注目されてきた。申請者は、超早期病変から進行癌に至る様々な段階の癌より樹立されたオルガノイドの統合解析を目指しているが、これまでに膵前癌病変および早期膵癌由来のオルガノイド樹立法は未だ確立されていない。 そこで、申請者は内視鏡検体を用いた膵癌オルガノイド、特に早期膵癌オルガノイドの樹立法を確立し、統合的な解析を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
早期膵癌が疑われる病変に対し、内視鏡的逆行性膵管造影下に膵管内腔へブラシを挿入し、擦過細胞診によって得られた微量検体を用いてオルガノイド樹立を試みた。その結果、2023年4月時点で複数の早期膵癌患者由来膵癌オルガノイドの長期培養に成功し、ゲノム解析、トランスクリプトーム解析によりこれらのプロファイルを確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、膵癌患者から樹立した正常膵管、前癌病変、早期膵癌の各段階の患者由来オルガノイドを用い、早期膵癌の特徴を明らかにすることにより、その病態解明および特異的バイオマーカーの探索を目指す。
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Causes of Carryover |
初年度はオルガノイドの樹立のランニングコスト中心であり消耗品と情報収集の旅費使用したために差額が生じた。次年度は樹立されたオルガノイドのゲノム・トランスクリプトーム解析を行う予定であり、過不足なく当初の見積もり通りの研究費の使用を予定している。
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