2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of pancreatic progenitor cells as the origin of the cancer using single-cell transcriptomic analysis.
Project/Area Number |
22K20921
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山崎 昌哉 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 学術研究員 (00962804)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 膵がん / 1細胞遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵がんは最も予後不良の悪性腫瘍であり、新たな治療法開発のために膵がんの本体解明が喫緊の課題である。がんは、正常組織を構成する細胞へのゲノム変異が蓄積することで発生する。膵がんの原因となる遺伝子変異は明らかになってきたものの、がんが発生する起点細胞や発がんに至るシステムの破綻については未だ不明な点が多い。本研究は、正常膵臓組織における膵管及び腺房細胞を構成する細胞の多様性を1細胞遺伝子発現解析によって解明し、発生学的見地を含めて膵がん発生の起点細胞を特定することを目的としている。 今年度は、マウス胎児膵臓組織の経時的な1細胞遺伝子発現解析を行なった。すると、膵管細胞や腺房細胞、サテライト細胞といった集団に分けることができ、それぞれに特異的な遺伝子発現データを取得した。また、細胞の遷移を推定するCytoTRACE法による解析の結果、段階を経て膵管細胞や腺房細胞が成熟していく流れが確認された。その起点として、注目すべき膵管前駆細胞と思しき亜細胞集団を同定した。一方で、これらの解析と並行し、膵がん発がんモデルを立ち上げるために必要な、膵がんの原因遺伝子であるKRAS変異体LSLマウスとp53変異体LSLマウスを導入した。今後は、この膵管前駆細胞候補集団の更なる特徴解析と特異的なマーカー同定を行う。また、この亜細胞集団が膵がん発生母地であるかを検討するために必要なマウス(CRE-ERT2ノックインマウス)の作製を行なったのちに発がん試験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度、マウス胎児膵の経時的な1細胞遺伝子発現解析を行い、膵管前駆細胞らしき集団より成熟した膵管及び腺房細胞の発生が確認された。この1細胞遺伝子発現解析は本研究の中心となる基盤情報であるが、研究当初にこの情報解析に難航したため、予定していた前駆細胞の機能解析については次年度に実施することとした。以上により、当初計画からはやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまでに得た1細胞遺伝子発現解析のデータをもとに、注目される膵管前駆細胞候補集団について幹細胞性を持つか、機能解析を行う。並行して、この前駆細胞候補が膵がんの発生母地になりうるかをマウス発がんモデルによって検討するために必要な、前駆細胞マーカー-Cre-ERT2遺伝子ノックインマウスを作製する。このマウスと膵がんの原因遺伝子を発現するマウスを交配することで発がん試験を行い、膵がん及び全眼病炎の発生頻度や病理形態を解析し、膵がん発生に重要な起点細胞の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の遅れにより、2022度に当初予定していた膵管前駆細胞の機能解析や発がんモデルマウスの作製を次年度に実施することとした。そのための費用分を次年度に繰り越した。上記の実験は、2023度内に予定している実験と並行して実施が可能である。
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Research Products
(4 results)