2022 Fiscal Year Research-status Report
網羅的一塩基多型解析を基盤にした原発性アルドステロン症の発症機構の解析
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22K20929
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
馬場 隆太 広島大学, 病院(医), 助教 (00963696)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 原発性アルドステロン症 / 一塩基多型 / 高血圧 / ゲノムワイド関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性アルドステロン症は、高血圧の原因疾患の一つであり、高血圧全体の約10%を占めると言われている。原発性アルドステロン症による高血圧は難治性であることが多く、脳卒中、心血管疾患、慢性腎臓病などを高頻度に合併する。その病態機序は不明な点が多く、特に発症に関わる遺伝的因子については十分に解明されていない。 当教室で収集した臨床検体とバイオバンク・ジャパンが保有する対照検体を用いてゲノムワイド関連解析を実施し、さらにUKバイオバンク(英国)とFinnGen(フィンランド)のゲノムワイド関連解析と統合してメタ解析を行うことにより、原発性アルドステロン症の発症に関わる6つの遺伝子領域(WNT2B、HOTTIP、CYP11B1/2、LSP1、TBX3、RXFP2)の遺伝子多型を同定した。副腎組織におけるeQTL(expression quantitative trait loci)解析とゲノムワイド関連解析の結果に対して共局在解析を適用することで、今回検出された遺伝子領域の一つであるRXFP2の遺伝子多型が副腎組織において、その発現量を上昇させることで原発性アルドステロン症の発症に関わる可能性があることを示した。さらに、高血圧に関わる既知の遺伝子領域について、原発性アルドステロン症と高血圧におけるオッズ比を比較解析することで、高血圧に関わる遺伝子領域の多くが原発性アルドステロン症由来である可能性があることを示した。 本研究によって、高血圧症の遺伝的素因に占める割合が予想外に大きい可能性があること、原発性アルドステロン症の発症に関わる複数の遺伝子領域が明らかになったことにより、病態の理解が大きく進むことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原発性アルドステロン症の発症に関わる遺伝子領域を同定した。さらに高血圧に関わる遺伝子領域の多くが原発性アルドステロン症由来である可能性があることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で得た結果を立証するために、PAモデル細胞株を用いた機能解析を行う。さらに動物モデルの利用により、原発性アルドステロン症発症のシグナル等の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、マルチオミックス解析、プロモーター解析、タンパク質局在解析などを2022年度に行う予定としていたが、研究によって同定された遺伝子領域に関しての解析を行うのみで、機能解析を実施できなかった。2023年度は上記を含めた解析に加えて、動物モデルを用いて研究を行う。
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Research Products
(1 results)