2022 Fiscal Year Research-status Report
肥満発症における視床下部リノール酸-アラキドン酸-プロスタグランジン経路の意義
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22K20930
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
竹田 勝志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (50834777)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | FADS2 / 肥満 / 視床下部 / リノール酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト疫学研究において、脂質摂取量と肥満には関連が示されている。げっ歯類でも高脂肪食の給餌は最も一般的な肥満症の疾患モデルの作製法であるが、脂質の過量摂取が肥満を誘導するメカニズムは実は未だにほとんど分かっていない。近年、肥満の病因として視床下部での炎症が注目されている。また、脂肪酸の中でも、リノール酸は体内でアラキドン酸に変換された後に炎症惹起性の脂質メディエーターの合成基質となることが知られており、ゆえに、本研究では、アラキドン酸や脂質メディエーターの合成酵素の遺伝学的、薬理学的操作により、視床下部におけるリノール酸-アラキドン酸-プロスタグランジン経路が視床下部での炎症ならびに肥満発症に及ぼす影響を解明する。 まず、体内でリノール酸からアラキドン酸を合成する際に必須となる酵素の一つであるFatty acid desaturase2(FADS2)の全身ノックアウト(KO)マウスの受精卵を共同研究先である順天堂大学より供与いただき、名古屋市立大学医学部動物実験施設において偽妊娠マウスに胚移植を行い、仔を得た後、出生仔の交配を行い、PCRを用いて解析し、FADS2遺伝子の欠損マウスが存在していることを確認した。 その後、交配し継続して行い、FADS2 KOマウスの安定供給体制を確立した。 今後は、FADS2 KO 雄マウスに高リノール酸食を1ヶ月間給餌し、摂餌量と体重変化を観察する。さらには、高リノール酸食を1ヶ月間給餌したFADS2 KOマウスの視床下部を採取し、視床下部の脂肪酸エステルをGC/MSにより網羅的に分析、炎症惹起性・抑制性脂質メディエーターをLC/MSにより網羅的に分析する。さらには、IL-1β、IL-6、GFAP、Iba1の遺伝子発現をQ-PCRで解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FADS2 KOマウスの胚移植の後、偽妊娠マウスから得られた出生仔の数が実験計画において当初予測していたよりもはるかに少数であったことから、FADS2 KOマウスを安定供給できる状況にすることに予定よりも多くの時間を要した。また必要物品の到着が予定より遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
①8週齢のFADS2の全身KO雄マウスに高リノール酸食を1ヶ月間給餌する。摂餌量と体重変化を観察することで、FADS2の酵素欠損がリノール酸による肥満発症に及ぼす影響を解析する。さらには、高リノール酸食を1ヶ月間給餌したFADS2 KOマウスの視床下部を採取し、視床下部の脂肪酸エステルをGC/MSにより網羅的に分析、炎症惹起性・抑制性脂質メディエーターをLC/MSにより網羅的に分析する。さらには、IL-1β、IL-6、GFAP、Iba1の遺伝子発現をQ-PCRで解析する。 ②視床下部に局在するAgRPニューロンないしPOMCニューロン特異的なプロモーターの下流で線虫由来のn-6系→n-3系への脂肪酸変換酵素、fat-1を人工的に発現するトランスジェニックマウスに対して、高リノール酸食を給餌することで、n-6系/n-3系脂肪酸を人工的に制御した際の摂餌量や体重、視床下部炎症への影響、視床下部リピドームの解析を行う。
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Causes of Carryover |
FADS2 KOマウスを安定的に得る体制確立に時間を要したことや、物品の到着が予定より遅れ、高リノール酸食給餌の影響の検討は次年度の検討となった。 そのため、次年度にはFADS2 KOマウスに対する高リノール酸食給餌実験を行い、視床下部の詳細な解析を予定している。また、この検討の後には、視床下部AgRPニューロンあるいはPOMCニューロン特異的にfat-1を発現するトランスジェニックマウスを用いて、高リノール酸食給餌実験を行い、同様の検討を予定している。
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[Presentation] A mouse model of weight gain after nicotine withdrawal2022
Author(s)
Katsushi Takeda, Daisuke Aotani, Yusuke Kuga, Tingting Guo, Kento Ogawa, Yuki Shimizu, Rei Hattori, Takashi Yagi, Hiroyuki Koyama, Hiromi Kataoka, Tomohiro Tanaka
Organizer
The Obesity Society (Obesity week 2002)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Dietary medium chain triglyceride impairs orexigenic action of ghrelin2022
Author(s)
Daisuke Aotani, Hiroyuki Ariyasu, Satoko Shimatsu-Kuwahara, Hidenari Nomura, Yoshiyuki Shimizu, Katsushi Takeda, Hiroyuki Koyama, Toru Kusakabe, Takashi Miyazawa, Takatoshi Hikida, Nobuya Inagaki, Hiromi Kataoka, Tomohiro Tanaka, Kazuwa Nakao
Organizer
The Obesity Society (Obesity week 2002)
Int'l Joint Research
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