2022 Fiscal Year Research-status Report
スキルス胃癌の癌関連繊維芽細胞に着目したナノテクノロジー応用新規治療開発
Project/Area Number |
22K20943
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 奏吉 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60963626)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | スキルス胃癌 / CAF / DDS / シングルセル遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
スキルス胃癌は極めて予後不良な疾患である。豊富な間質成分を有することが特徴であり、スキルス胃癌の癌関連線維芽細胞 (Cancer associated fibroblast; CAF)が腫瘍微小環境をリモデリングすることが報告されている。本研究では、スキルス胃癌で豊富なCAFのheterogenietyを明らかにし、CAFにおける腫瘍促進に関連する標的分子を明らかにすることを目的とした。そして、腫瘍特異的DDS (drug delivery system)を利用したスキルス胃癌CAFに特異的な新規治療の開発を目標とした。 スキルス胃癌を含む非充実性低分化型胃腺癌 (por2)に着目したシングルセル遺伝子発現解析を行った。その結果、por2胃癌CAFにも過去に報告されている筋繊維性CAFや炎症性CAFの集団が存在することを確認した。また、por2胃癌では筋繊維性CAFに特徴的な遺伝子発現が高い1つのクラスターの割合がpor2以外の胃癌と比較して多く、細胞増殖に関わる経路が有意に上がっていた。さらにGSEA解析ではpor2胃癌で神経伝達受容体活性が有意に高く、core enrichment geneの中で治療標的になる可能性がある分子を特定することができた。現在までにスキルス胃癌症例のシングルセル遺伝子発現解析データを集積できており、さらなる詳細な解析を行う予定である。また、今後は同定した分子の機能的意義を評価し、治療候補分子標的ナノテクノロジーを応用した有害事象が少ない、かつCAF特異的治療の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スキルス胃癌を含むpor2胃癌のCAFに着目したシングルセル遺伝子発現解析を行った結果、por2胃癌では筋繊維性CAFに特徴的な遺伝子発現が高い1つのクラスターの割合がpor2胃癌以外のCAFと比較して多く、細胞増殖に関わる経路が有意に上がっていた。さらにGSEA解析ではpor2胃癌で神経伝達受容体活性が有意に高く、core enrichment geneの中で治療標的になる可能性がある分子を特定しえた。上記理由より②と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
シングルセル遺伝子発現解析でPor2胃癌におけるCAFで治療標的候補分子を特定したため、この分子の蛋白レベルでの発現と局在を多重免疫染色で同定する。その後、標的分子をRNA干渉することで変化するCAFの機能について評価を行う。さらに細胞間相互作用ツールを用いて他の免疫細胞との相互作用を評価し、in vitro・in vivo実験でCAFと他の免疫細胞との相互作用を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。次年度は研究用試薬、受託解析等に使用予定である。
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