2022 Fiscal Year Research-status Report
薬剤搭載高分子ナノミセル技術を用いた、胎盤通過性を制御した新規早産治療薬の開発
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22K20955
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 研資 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60964939)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子ナノミセル / 胎盤通過性 / インドメタシン / Drug Delivery |
Outline of Annual Research Achievements |
インドメタシンミセルと類似した構造をとるPEGylated-Gold Nanoparticles (GNPs)用いてヒト胎盤通過性の違いを検証し、10nm、20nm、30nmのGNPsそれぞれについて検証を行った。予備実験において、30nmのGNPsがヒト胎盤灌流モデルにおいて胎盤通過性が著明に低下することを示していたが、実験を複数回行うことにより、10nmGNPs、20nmGNPs、30nmGNPsそれぞれの胎盤通過性についてのデータ集積に成功した。その結果、予備実験の結果を指示する形で、GNPsはサイズ依存性に胎盤通過性が低下し、30nmGNPsがほとんど胎盤を通過しないことを有意差をもって示すことが出来、PEGでコーティングされた物質の胎盤通過におけるサイズのカットオフが30nmにあることを明らかにすることに成功した。インドメタシンを搭載した高分子ナノミセルに関しては、未だ有意差は示せていないが、40nmの高分子ナノミセルがインドメタシン単体と比べて胎盤通過性を低減する傾向にあることを示した。 マウス実験に関しては、インドメタシンの胎児毒性として代表的な動脈管収縮についての実験を中心に施行したが、マウスの動脈管は非常に細く、病理組織の切片を作ることに難渋している。また、インドメタシンはコントロールとして動脈管収縮を起こすものであるとして実験に臨んでいるが、インドメタシン投与でも安定して動脈管収縮を示すモデルが得られておらず、試行錯誤を重ねている。インドメタシンが可逆性変化であることは報告にもあるが、インドメタシンを投与した全例で動脈管収縮が起こるわけではないかもしれないと考えている。また、インドメタシンが動脈管収縮を起こす血中濃度についても明らかではないため、他の動物実験との整合性を取りながら、安定してインドメタシン投与による動脈管収縮が起こるモデルの習得を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染の観点からヒト胎盤の入手が出来ない状況が続いており、また動物実験の遂行にも制限が生じておりヒト胎盤を用いた研究、マウスを用いた研究ともに予定通りに進行できていない状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染症分類が5類感染症に変更するにあたり、ヒト胎盤の入手が可能な状態になること、動物実験の施行制限は解除されることが見込まれる。当初の計画通り、ヒト胎盤を用いたex vivo胎盤灌流モデルを用いてインドメタシンおよびインドメタシンミセルの胎盤通過性についてさらに検証を重ね、ヒト胎盤を高分子ナノミセル搭載物質が通過するカットオフについて検証を行う予定である。さらに、早産期胎盤や妊娠高血圧腎症など産科的合併症を有する胎盤においても検証を行うところまで研究を進めていきたいと考えている。 マウスを用いた実験に関しては薬剤の分布についての検証をさらに重ね、インドメタシンおよびインドメタシンミセルの体内分布・蓄積について定量的評価を行いたい。さらに、インドメタシンおよびインドメタシンミセルにより動脈管収縮が起こらないかどうかについて、検証することを目標としたい。
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Causes of Carryover |
研究遂行に際して、本年度は新型コロナウィルス流行によって、実際の分娩後胎盤を入手することが困難であったことから研究遂行が遅延している。徐々に新型コロナウィルスによる制限が少なくなってきており、次年度以降は胎盤灌流実験を中心として研究を展開していく予定である。
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Research Products
(1 results)