2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒトとマウスのBMP受容体ALK2における1アミノ酸を介した活性制御機構の解明
Project/Area Number |
22K20964
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
福田 枝里子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60740777)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | BMP / ALK2 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
ALK2は、509アミノ酸からなる細胞膜貫通型キナーゼ受容体で、細胞外領域でBone Morphogenetic Protein (BMP)と結合し、細胞内領域のキナーゼ活性で細胞内にシグナルを伝達する。ヒトALK2の機能獲得型変異体が、複数の遺伝性疾患で同定されており、全身の軟組織で異所性骨化が起きる進行性骨化性線維異形成症 (FOP)は、遺伝的変異が見出された最初の疾患である。その後、脊椎の腱や靭帯が骨化するびまん性特発性骨増殖症 (DISH)症例や小児の脳腫瘍のびまん性橋膠腫 (DIPG)症例でも、ALK2のアミノ酸置換を伴う遺伝的変異が見つかっている。 我々は、ALK2シグナルの解析から、ヒトALK2とマウスALK2の活性に差があることを見出している。本研究では、ヒトALK2とマウスALK2で異なるアミノ酸残基に着目し、動物種の違いに由来する特定の1アミノ酸残基によって調整されるALK2活性制御機構の解明を進めている。本年度は、マウスALK2とヒトALK2で異なる細胞内領域の特定の1アミノ酸残基を別のアミノ酸残基に置換したALK2変異体の活性を比較解析した。また、ALK2のキナーゼ活性には、ALK2とは別のもう1種類のII型受容体が重要とされている。本年度の結果から、ヒトALK2とマウスALK2の活性の差についても、II型受容体が重要であることが予想されたため、ゲノム編集によるII型受容体ノックアウト細胞作製の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、in vitroの解析を進めることができた。また、実験材料の準備も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトALK2とマウスALK2の活性の差について、II型受容体が重要であるか可能性が示唆されたため、II型受容体のノックアウト細胞の作製を進め、ALK2における1アミノ酸を介した活性制御に対するII型受容体の関与について解析を進める。
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Causes of Carryover |
消耗品が想定よりも安価に購入できたため、次年度使用額が生じた。 in vitroの解析に用いる消耗品などの物品費を中心とした使用を計画している。
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