2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトとマウスのBMP受容体ALK2における1アミノ酸を介した活性制御機構の解明
Project/Area Number |
22K20964
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
福田 枝里子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60740777)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | BMP / ALK2 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
ALK2は、509アミノ酸からなる細胞膜貫通型キナーゼ受容体である。ヒトALK2の機能獲得型変異体が、複数の遺伝性疾患で同定されており、全身の軟組織で異所性骨化が起きる進行性骨化性線維異形成症(FOP)は、遺伝的変異が見出された最初の疾患である。その後、脊椎の腱や靭帯が骨化するびまん性特発性骨増殖症(DISH)症例や小児の脳腫瘍のびまん性橋膠腫(DIPG)症例でも、ALK2のアミノ酸置換を伴う遺伝的変異が見つかっている。我々は、ALK2シグナル解析から、ヒトALK2とマウスALK2の活性に差があることを見出している。本研究では、ヒトALK2とマウスALK2で異なるアミノ酸残基に着目し、動物種の違いに由来する特定の1アミノ酸残基によって調整されるALK2活性制御機構を解析している。2022年度の解析から、ヒトALK2とマウスALK2の活性の差について、II型受容体による活性化が重要であることが予想された。ALK2受容体は、細胞外でリガンドおよび、II型受容体と複合体を形成し細胞内シグナルを活性化する。そこで、2023年度は、ヒトALK2受容体と特定の1アミノ酸残基をマウス型のアミノ酸に置換したマウス型変異体に対して、複数の種類のBMPリガンドでヒトALK2とマウス型ALK2変異体を刺激し、細胞内シグナルを定量解析した。すると、ヒトALK2とマウス型ALK2変異体は、ある種のBMPリガンドに対して、異なる反応を示すことが判明した。本結果から、動物種の違いに由来する特定の1アミノ酸残基によって、ALK2のBMPリガンドに対する反応性が変化する可能性が示唆された。
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