2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞外小胞を介した骨芽細胞間ネットワークによる骨代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
22K20975
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上中 麻希 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (90468265)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 細胞外小胞 / 骨代謝 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞外小胞を介した骨芽細胞間ネットワークの骨代謝制御機構を明らかにすることである。骨代謝は骨吸収と骨形成を繰り返し、そのバランスにより恒常性を保っている。しかし骨形成はどのように完了するか、次の骨吸収へどのように移行するのか、その制御機構については未だ不明な点が多い。我々は骨芽細胞レポーターマウスの頭頂部の生体イメージングから、骨芽細胞が活発に小胞を放出および取り込んでいることを見出し、骨芽細胞間ネットワークの存在を明らかにした。このネットワークの存在は数十個という単位で集団として骨形成を行う骨芽細胞の細胞間連携システムであり、骨形成を完了する自制機能として働くことが考えられた。 そこで、分化早期の骨芽細胞由来細胞外小胞と分化後期の細胞外小胞の、骨芽細胞に対する作用の違いを明らかにするため、培養系を用いてレシピエント骨芽細胞の分化マーカー遺伝子の発現解析および、石灰化機能評価を行った。結果、分化早期由来の小胞はレシピエントの骨芽細胞分化を促進し石灰化を促進した一方、分化後期由来の小胞は骨芽細胞の分化を抑制した。また、細胞外小胞に含まれるmiRNAの網羅的解析、プロテオーム解析を行い、早期と後期骨芽細胞それぞれの細胞外小胞に含まれる校正因子プロファイル解析を行った。以上の結果より、分化早期と分化後期の骨芽細胞で放出する小胞の構成因子が異なり、その機能も異なっていることが明らかとなった。今後はさらに詳細な解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、骨芽細胞由来細胞外小胞の機能評価について、in vitroでの評価を達成した。また構成因子の網羅的解析を行った。現時点では、概ね順調に進展している。 次年度は、病態モデルにおける小胞の作用や、小胞構成因子のそれぞれの機能に着目して進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに骨芽細胞由来細胞外小胞の分化早期および分化後期における機能および構成因子の違いについて、主にin vitroで明らかにしてきた。次年度はin vivoにおいて、細胞外小胞構成因子の骨代謝への影響を調べるとともに、病態モデルにおける骨芽細胞由来細胞外小胞の機能について、実験および解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
今後、細胞外小胞の構成因子のノックアウトマウスを作成することを計画しており、予算を数種類のノックアウトマウス作成に回すために繰り越した。
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