2022 Fiscal Year Research-status Report
泌尿器がん個別化免疫療法の開発~遺伝子改変ネオアンチゲン特異的T細胞の作製~
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22K20976
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥田 洋平 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10964372)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝子改変ネオアンチゲン特異的T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫チェックポイント阻害剤(ICI:Immune checkpoint inhibitor)が泌尿器科がん患者にも大きな恩恵をもたらしている。腫瘍免疫学の多大な進歩によりICIは開発されたが、奏効率は20~30%に限られ、ICIを含めた薬物抵抗性がんへの新たな免疫療法の開発が求められる。ネオアンチゲンは腫瘍における体細胞変異によって生じる変異タンパクに由来するペプチドであり、腫瘍特異的な抗原である。そのため、ネオアンチゲン特異的に免疫応答を起こすT細胞を体外で作成し患者に輸注する事で、ICI抵抗性がんにも有効となる可能性が高い。 我々は既に高精度ネオアンチゲン予測系を独自に確立しており(Kiyotani K, Cancer Sci. 2018)、今回、本アルゴリズムを用いて我々の施設内に保管している腎細胞癌の腫瘍組織から患者個別のネオアンチゲンを予測した。その中から日本人において保有率の高いHLA-A24:02あるいはHLA-A02:01に対する親和性が高いネオアンチゲンを15種類同定した。 現在、相同のHLA-Aを有した健常者の単核球を用いて、同定したネオアンチゲンに特異的に免疫反応を起こすT細胞の誘導を試みている。 特異的T細胞を回収し解析することで、最終的には遺伝子改変ネオアンチゲン特異的T細胞を人工的に作製し、患者個別の癌免疫療法が提供できるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネオアンチゲン特異的T細胞の誘導を精力的に行っているが、ELISPOTやFCM(フリーサイトメトリー)等の検証において、コントロールと比較して有意な誘導が発生しているという結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ネオアンチゲン特異的T細胞の誘導に際して使用している健常人のPBMCと抗原提示されたネオアンチゲンに対する反応性や親和性はそのPBMCによって異なるため、様々な健常人との組み合わせにて検証を継続する。 また誘導に際して使用しているサイトカインの濃度についても条件検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
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