2022 Fiscal Year Research-status Report
栄養膜細胞の初代培養を用いた胎盤の抗ウイルス免疫応答および胎内感染防御機構の解明
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22K20982
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
本村 健一郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 研究員 (00724329)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 栄養膜細胞 / 胎盤 / 先天性ウイルス感染症 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊婦のウイルス感染は、胎内感染による児の障害や妊娠合併症を引き起こす。胎盤構成細胞のうち合胞体栄養膜細胞は母体血と接する胎児由来の細胞で、ガス交換、ホルモン産生などの胎盤の主要な機能を果たすほか、母体に感染した病原体の胎児への移行を妨げる免疫学的関門として働く。しかし、その防御メカニズムの全貌はまだ明らかになっていない。 本研究では、申請者らが確立した合胞体栄養膜細胞のモデルであるヒト胎盤由来初代分化栄養膜細胞の抗ウイルス作用を検討することで、ウイルスが胎内感染するメカニズムと胎盤に障害を与えるメカニズムを検討する。さらに、妊娠マウスモデルを用いて合成二本鎖RNAが胎盤、ひいては妊娠維持、出生仔にどのような影響を与えるかを評価する。 今年度は、初代栄養膜細胞モデルを用いた検討に関しては、ウイルスを用いた実験の元となるデータを合成二本鎖RNAによる刺激で取得し、論文として報告した。 動物モデルを用いた検討では、野生型マウス、Tlr3-/-マウスを用いて、合成二本鎖RNAが胎仔、胎盤の重量をTLR3を介して減少させることを確認し、さらに同マウスの母体血、妊娠性組織、胎仔組織を回収・保存した。一方、新生仔体重は迅速にキャッチアップして、合成二本鎖RNAの影響は見られなかった。加えて、TLR3の胎盤内作用の特異性を確認するための胚移植実験の準備を進めたが、並行してHeterozygous mating systemによる実験を実施し、胎仔のTlr3 genotypeが胎仔・胎盤重量減少に関与している可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに確立した実験モデルを使用したため。また、Heterozygous mating systemによる実験がスムーズに確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の予定通り、検討を進めていく。 初代栄養膜細胞を用いた検討に関しては、ウイルス自体を使用した実験を進めていく。施設内での実施が困難である場合には、他施設との共同研究を進める。 動物モデルを使用した実験においては、すでに検討に必要な組織サンプルの回収は完了しているため、炎症の評価や組織像の評価を進め、二本鎖RNAによる胎盤障害を明らかにする。さらに、Heterozygous matingの結果を補強する必要がある場合は、胚移植実験を行う方針である。
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Causes of Carryover |
2022年度に実施を予定していたTranscriptome解析を2023年度に実施することとしたため、その費用を2023年度計上とした。 2023年度はこのTranscriptome解析を実施する。
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