2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K20991
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山賀 俊介 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50964863)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 喫煙 / 歯周病 / タイトジャンクション |
Outline of Annual Research Achievements |
歯肉上皮はタイトジャンクションを主体とする物理的なバリア機能を備えることで,生体恒常性の維持に関わっている.歯肉上皮のバリア機能が破綻すると lipopolysaccharide(LPS)やペプチドグリカン(PGN)などの歯周病原因子が生体内に侵入し,歯周病の発症・進行を誘発すると考えられる.喫煙は歯周病の主要なリスク因子であるが,喫煙が歯肉上皮のバリア機能に与える影響については不明な点が多い.そこで本研究では歯周病の発症および進行への喫煙の影響について歯肉上皮の防御機構の観点から明らかにすることを目的とする. 令和5年度は,タバコ抽出液(Cigarette Smoke Extract : CSE)が,歯肉上皮で発現する密着結合関連タンパク質のひとつである junctional adhesion molecule 1 (JAM1) の局在を移行させる分子メカニズムについて解析した.その結果,歯肉上皮細胞への CSE 添加により,JAM1 の局在が細胞膜から epidermal growth factor receptor (EGFR) 陽性のエンドソームへ移行した.また CSE 暴露による JAM1 の局在移行を阻害する物質としてビタミンCを同定した.ビタミンCを添加した歯肉上皮細胞では非添加の歯肉上皮細胞と比較して JAM1 の発現量が増加した.また,歯肉上皮細胞へのCSE 暴露により Porphyromonas gingivalis 由来の LPS および PGN の透過性が亢進するのに対し,ビタミンCを添加した歯肉上皮細胞ではその効果が軽減した. これらの結果より,CSEはエンドサイトーシス経路を介した JAM1 の局在移行により異物透過性を亢進させること,そしてビタミンCを添加した歯肉上皮細胞では JAM1 の発現が誘導され,CSE 暴露によるバリア機能への影響が軽減されることが示唆された.
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