2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel tooth restorative material with similar wear property as human enamel
Project/Area Number |
22K20999
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
徳永 隼平 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (00966658)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 生体模倣 / 摩耗 / 歯 / エナメル質 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラウンなどの歯冠修復物と対合歯は咬摩によって変化する。材料の種類によっては、対合歯または材料自体の損傷が大きくなり、予後不良を招く恐れがある。そのため、エナメル質と修復物、または修復物と修復物の摩耗性は重要である。生体模倣の観点から考えると、エナメル質と同じ摩耗性をもつ材料が良いと考えられるが、既存のあらゆる材料においてエナメル質と同じ摩耗性をもつ修復物は存在しない。そこで本研究では、エナメル質と同じ摩耗性をもつ歯冠修復用CAD/CAMブロックを開発することを目的とする。新規材料は、セラミックススラリーを乾燥させ、焼成することで得られた多孔質ブロックに、レジンモノマーを含浸・重合させることで作製した。比較対象として、市販のジルコニア、ポリマー含浸セラミックス、CAD/CAM用コンポジットレジンを用いた。各材料を板状に加工し、研磨を行い、レジンを用いてジグに固定した。アンタゴニスト(対合歯)には、半径1mmの半球状のステンレスロッドを用いた。試料を37°Cの水中浸漬させた状態にてアンタゴニストを衝突させ、往復運動させた。この衝突滑走摩耗を数千から数万回繰り返した。摩耗した表面を3 次元計測可能なマイクロスコープにて観察し、摩耗量を計測した。その結果、新規材料の摩耗量は比較的ポリマー含浸セラミックスやCAD/CAM用コンポジットレジンに似ており、摩耗回数の増加に伴って摩耗量は線形的に増加した。一方、ジルコニアはまったく摩耗することがなかった。このことから、新規材料は摩耗性がセラミックスよりも複合材料に近く、それ自体も摩耗することがわかった。また、新規材料の摩耗挙動は市販のポリマー含浸セラミックスに近かったため、エナメル質に近い摩耗性をもつと考えられる。
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