2022 Fiscal Year Research-status Report
デジタル印象の精度・真度を補償するデバイスの開発および実用化に向けた戦略的研究
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22K21000
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
枡 澪那 昭和大学, 歯学部, 助教 (00965890)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 光学印象 / 真度 / 無歯顎 / インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタル印象の精度・真度を補償するデバイスの開発および実用化に向けた戦略的研究の研究実績の報告をする.真度を補償する補助デバイスの開発を行った. 口腔内スキャナーを用いたデジタル印象では,印象範囲が拡大するに従い印象の真度(真値にどれだけ近いか)が低下する.特に無歯顎インプラント症例では,スキャン対象の 欠損部顎堤粘膜の表面形態がフラットで特異性に乏しいことから,スキャンした画像の再構成(以下ステッチング)時に誤差が生じやすくなり,有歯顎と比較して真度の低下を招きやすい.そこで演者らは,ステッチングに伴う誤差を抑制することを目的としスキャン補助デバイス(以下デバイス)を新たに開発した.本研究ではこのデバイスを欠損部顎堤粘膜上に設置することによる印象真度への影響を検証した. 結果は,無歯顎インプラント症例におけるデジタル印象の真度は,新たに開発されたデバイスを用いることで有意に向上することが示唆された.さらにデバイスを用いたデジタル印象は従来法で標準的に用いられているベリフィケーション・インデックスを用いた方法と同水準の真度で印象形態データが得られる可能性が示唆された.以上の結果より,機器やソフトウェアの改善に依存しない手法,かつ汎用性のある精度・真度の改善手法の開発を目指し,補助デバイスを用いた精度・真度の補償に着目した.臨床応用をするため現在は患者のリクルートと臨床応用可能な補助デバイスの開発を行っている.インプラント間の差があるため個体差に対応した補助デバイスの開発が必要である.様々な長さの補助デバイスをPMMAディスクよりCAMを行い順次患者へ応用する段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔内スキャナーを用いたデジタル印象法の全顎スキャンにおける精度および真度(正確度)を担保するためのデジタル印象採得用補助デバイス(以下「補助デバイス」という)を開発し,予備的検討の結果,欠損部顎堤に補助デバイスを介することで従来法よりも精度が向上することが示された.しかし,補助デバイスの臨床応用と製品化を鑑みると,真度についての検討が不足しているだけはなく,補助デバイスの形態の最適化,スキャンパスの構築,およびin vivoにおける効果測定など不明な点は少なくない.そこで本研究では補助デバイスの形態の最適化を行うとともに,最適化された補助デバイスの精度・真度補償効果を検証することを目的とした.臨床応用において,患者によってインプラント間の距離や顎堤の広さに相違があること,該当患者のリクルートに時間がかかっているため,やや研究が遅れている.距離や顎堤の広さに適応可能な補助デバイスを開発している状況である.補助デバイスの開発後に倫理委員会での審査を行うため研究に遅れが出ている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においてはインプラント間距離に臨機応変に対応可能な補助デバイスの開発と研究対象となる患者を収集し臨床研究を行っていく.また臨床研究結果について国内,国際学会での発表を行う予定である.
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Causes of Carryover |
インプラント間に個人差があるため臨機応変に対応できる補助デバイスの開発,改良と臨床実験に協力していただいた患者への謝礼の支払い,また国内,国際学会での発表をするため次年度使用額が生じた.
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