2022 Fiscal Year Research-status Report
エナメル芽細胞極性化におけるp130Casの機能解明
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22K21017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 茜 九州大学, 大学病院, 医員 (70967752)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 歯 / エナメル芽細胞 / 分化 / 細胞極性 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル芽細胞はその分化過程において、ダイナミックにその形態を変えながら様々な機能を発揮する細胞であり、それぞれの形態に特有の機能を有するユニークな細胞であると言える。これまでの研究で、細胞接着、細胞骨格の維持および細胞極性などの細胞プロセスに関与することで知られるp130Casに着目し、破骨細胞の骨吸収メカニズムに必須である波状縁の形成に重要であることを発見した。本因子はエナメル芽細胞分化にも影響を与え、細胞極性に重要であることが考えられる。そこで本研究では、p130casを介したエナメル芽細胞分化メカニズムを解析することで、細胞極性による新たな細胞分化制御機構の解明を目的として研究を開始した。 本年度は主に、CRIPR/Cas9システムを用いて、p130Cas遺伝子欠損細胞株の樹立を行った。これまでに樹立した、歯原性上皮幹細胞株M3H1を用いて、p130cas遺伝子のexon 2 が欠失したp130遺伝子欠損細胞株を作製した。具体的には、exon 2の両端を特異的に認識する gRNAを作製し、 Cas9タンパク質とともに electroporation 法にて導入を行った。その際、同時にGFP発現ベクターを一過性に遺伝子導入することで、遺伝子導入が成功した細胞の可視化を行った。GFP+ 細胞を、フローサイトメーターを用いて回収し、96well プレートを用いてシングルセル単離培養を行った。シングルセル単離培養にて、クローンの作製に成功した細胞を用いて、western blotting法および免疫染色法を用いてタンパクレベルで p130Casの発現を確認した。p130Cas の発現の消失を認めたクローンをp130 Cas 遺伝子欠損細胞株と定義した。次年度は、本細胞株を用いた機能解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p130 Cas 遺伝子欠損細胞株の樹立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度樹立した細胞株を用いて、エナメル芽細胞分化におけるp130Casの機能解析を行う。さらに従来の2次元培養では難しかった上皮細胞極性化を惹起する3次元培養システムを構築することで、極性化メカニズムの解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は主に、遺伝子欠損細胞株の作成を行った。細胞株の作製が当初予定より効率的に進み、比較的少ない実験試薬で完了したため、実験試薬に関わる物品費の節約ができた。次年度は機能解析を予定しており、次年度分と合わせることで網羅的解析を含むより詳細な解析を行う予定である。
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