2022 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織における炎症や歯周病態に関与する血管新生の特性の解析
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22K21022
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 智子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (60962743)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2023-03-31
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Keywords | 血管新生 / 歯周病 / 血管イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織は、生体において歯に加わる咬合力、食物の刺激や温度の急激な変化、さらには細菌の侵入という過酷な環境に適応するために特徴的な構造を有した歯の支持組織である。歯周組織に生じる疾患の総称である歯周病が歯の喪失する1番の原因であることや、歯周組織に原発する病巣感染が2次的に糖尿病や虚血性心疾患などの全身疾患の原因となりうることが報告されているように、歯周組織は生体機能維持に必須の組織でありながら、歯周病に対する発生機序は、虫歯などの他の口腔疾患に比べ不明点が多く、これらの予防や治療法の開発は十分に進んでいるとは言い難い。歯周病や歯周医学に対する予防や治療法の開発が遅れていた大きな理由は歯周病が細菌因子、宿主因子、環境因子が影響して発生、進行する多因子性疾患であることや、歯周組織が詳細な可視化による解析や遺伝子解析が困難とされる硬組織を伴う構造を有していることから、研究のために十分な環境を整えることが困難であったため、限られた条件での研究が遂行されてきたことである。このような背景の中、本研究の申請者は硬組織における高精度なイメージング技術を確立するとともに、歯の石灰化機序に関わる新たな血管のサブタイプを報告した。以上のことから、本研究では、独自の可視化技術を用いて、「歯周病や歯周医学における歯周血管と歯周組織の関連性」を解明することにより、未だ不明点が多く確立された治療法が限られている歯周炎などの対する新規アプローチに繋がると考える。 本年の研究では、歯周組織における血管の最適化を行なったことにより、種々の病態状況における血管イメージングを可能にした。今後の研究では、遺伝子改変マウスを用いて血管新生プロセスのない環境下における歯周炎組織の表現型などを検討することにより、歯周組織特有にみられる新生血管の同定、その特性を理解し、その新規概念の成果発信を行う。
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