2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of cortical neurons involved in periodontal ligament sensation using optical imaging and immunohistochemical staining methods
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22K21026
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 秀太朗 日本大学, 歯学部, 専修医 (90961558)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 島皮質 / イメージング / 光学計測 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの歯根膜に反復刺激を行ったカルシウム応答では、一次体性感覚野(S1)、二次体性感覚野(S2)、IC(島皮質)の3か所に分かれて誘発されることが最近示された。しかしながら、ラットにおける膜電位感受性色素を用いた光学計測では、S2とICの応答はマウスのカルシウムイメージングのように別々では無く、その境界領域から一塊として生じることが報告されており、マウスで応答性が異なる理由は明らかとなっていない。このように、マウスにおける歯根膜感覚情報処理については不明な点が多い。そこで本研究では、マウスの歯根膜感覚の情報を処理する部位を明らかにする目的で、フラビン蛍光に着目した光学計測法を行い、大脳皮質の応答性を検討した。 本実験で行う光学計測法を用いた検討にはC57BL6/Jマウスを用いる。ウレタンを用いて全身麻酔を行い、上下左右の臼歯歯根膜に刺激電極を刺入後、骨窓を形成し、中大脳動脈と嗅溝の交点を中心として、S1、S2、ICを含む領域の頭蓋骨に開窓を行った。開窓した左側大脳皮質に、臼歯歯根膜に電気刺激を与え、フラビン蛍光の光学計測を行い蛍光輝度の変化をCMOSカメラにて観察し、平均加算して得られる応答を抽出し、大脳皮質の応答性を検討した。 その結果、フラビン蛍光による観察ではカルシウムイメージングとは異なり、2か所の応答(S1とS2/IOR)、の応答パターンを示す個体が多く認められた。このことから、マウスでも臼歯歯根膜からの感覚情報はS2/IORに投射され処理されることが示唆された。カルシウムイメージングにおける観察結果と異なるパターンで応答が認められる原因として、刺激方法が異なること、観察手法によって捉えている現象が異なっていることなどの可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は膜電位感受性色素(RH-1691)を用いた光学計測をマウスで、応答の特徴を検討する予定であった。しかしながら、研究開始時点でRH-1691は製造が中止されており、入手できない状況となっていた。そこで、別の光学計測法としてフラビン蛍光を利用したイメージングを行い、予定した内容の検討を行った。その結果、ラットと異なる応答性となる理由は種差では無いことが示唆され、今後、カルシウムイメージングによる信号がどこに位置する神経細胞の活動を反映しているのか、また、マウスにおけるカルシウムイメージングと過去のラットにおける膜電位感受性色素を用いた検討では刺激方法が異なることから、その違いによって大脳皮質に誘発される応答が異なるのかを検討する予定である。このように一部の実験予定を変更する必要が生じたが、対応を行い、現時点ではおおむね順調に進展している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、フラビン蛍光を利用した光学計測法を行い、解析を進めているところとなっている。光学計測法だけでは観察手法による応答の違いなのかは判別しにくい。イメージングで記録、検討可能な応答を誘発するには、それぞれの手法に応じた刺激の回数や時間などの制約がある。今回のように刺激間隔が異なることによって応答部位が異なるという可能性を検討するには、別の検討手法を要すると考えている。 そこで、今後はマウス臼歯部歯根膜に対し電気刺激を行った時の応答部位を、神経活動マーカーを指標とした免疫染色を行うことを考えている。C57BL6/Jマウスを用い、刺激条件を変えたことによって応答性が変化するかの検討を行う。すなわち光学計測法によって得られた結果がc-fos等の神経活動マーカーを利用した検討結果とどのように合致するのかを含めた検討を行う。
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Causes of Carryover |
本研究では使用する予定であった膜電位感受性色素(RH-1691)は、現在、製造されておらず入手が困難な状況となっている。研究計画に関しては、前述のとおり、ある程度の成果を別の手法にて得ている。RH-1691は比較的高価な試薬であったため、その分差額が生じた。刺激手法による応答性の違いを神経活動マーカーにおける検討で行っていく必要が生じたため、次年度への繰越金は、今後行う免疫染色に用いるのに必要な材料の購入に要するため、令和5年度の助成金と合わせてこれらに使用する。
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Research Products
(2 results)