2023 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌におけるリキッドバイオプシーを用いた経時的ゲノム解析の臨床的有用性の検討
Project/Area Number |
22K21031
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野地 理夏 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (30963970)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | リキッドバイオプシー / 頭頸部癌 / 免疫チェックポイント阻害薬 / ctDNA解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在頭頸部癌の標準薬物療法として免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が広く臨床で使用されている。ICI の長期奏効例が散見される一方で、奏効率は約2 割と低いことが課題である。これまで頭頸部癌におけるICI 応答の予測バイオマーカーは明らかになっていない。近年次世代シークエンサーを用いた包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査の臨床利用が進んでおり、有効なバイオマーカーの解明が求められてる。2021年に国内初の血液検体を用いたリキッドバイオプシーによるCGP 検査が保険承認された。これは死滅した細胞が放出した循環血液中の遊離DNA(cfDNA;cell-free DNA)を解析し、そこに含まれる腫瘍由来のDNAから遺伝子変異を検出するものである。リキッドバイオプシーによるゲノムプロファイリングの様々な臨床利用が期待されている。 本研究では頭頸部癌のICI 治療中において経時的なリキッドバイオプシーのよるゲノム解析を行い、cfDNA 動態と治療転帰について評価することでICI 療法の予後予測マーカーおよび治療奏効・耐性の関係について検討をおこなった。対象は再発・転移頭頸部扁平上皮癌例を対象とし、解析方法はICI治療開始前、開始4週および6か月後またはPD時に血液検体を採取し DNA シークエンスを施行した。最終年度となり目標症例数10症例がエントリーした。各遺伝子変異のVAF(バリアントアリル頻度)の変動がICI治療過程で変化することを確認した。治療効果によって遺伝子変化のパターンに違いが生じることを確認した。血漿検体採取とほぼ同時期に撮影したCT画像上で体内腫瘍量の算出を行った。体内腫瘍量と検出されたctDNA変化は有意な相関を認めた。これらの結果より、ctDNA解析が治療効果を反映していることが示唆された。
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