2022 Fiscal Year Research-status Report
硫酸イオン代謝異常が軟骨形成不全症を引き起こすメカニズムの解明とその治療法の探索
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22K21037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 侑加 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50966710)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 軟骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
上顎骨の形態形成において、硫酸イオン代謝が重要な働きをしていることは疑いがない。しかし、軟骨形成の、特に上顎の発生過程において、硫酸イオン代謝がどのような役割を担っているかについて報告はない。Slc26a2の欠失による硫酸イオン代謝の異常が、上顎骨の低形成や上顎歯胚に特異的な形成不全等を引き起こすメカニズムを明らかにすることで、軟骨形成不全症における特徴的な顎顔面形態異常の病因を解明し、新しい分子診断や予防・治療法の基盤構築を目的とした。Slc26a2のホモ変異マウス胎児から経時的 (胎生12.5日、胎生18.5日)に頭蓋顎顔面組織を採取し、μCTや骨格標本による形態学的 な解析を行った。上顎骨の組織切片を作製し、HE染色や免疫化学染色、in situ hybridization等により、病理組織学的に解析する。上顎骨の軟 骨組織をレーザーマイクロダイセクションにより採取し、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析を行うことで、軟骨形成不全の原 因となっている分子メカニズムを検索した。上記で抽出した分子経路について、上顎から採取した軟骨細胞を用いて、in vitroでの検証実験を行った。さらに、軟骨無形成症の原因遺伝子であるFGFR3との関連を検索するために、Slc26a2欠失軟骨細胞におけるFGFR3シグナル分子の活性(MA PK,JAK2/STAT,mTOR)をウエスタンブロットにて野生型と比較検討することで、軟骨形成不全の病因をさらに解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続して研究を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス軟骨前駆細胞株にレンチウイルスをトランスフェクションし、Slc26a2ノックダウンを行うと、正常細胞と比較して アポトーシスが亢進することをすでに見出している。そこで、Slc26a2-KOマウスの上顎から抽出した軟骨細胞においてもアポトーシスが亢進し ているか検証したうえで、方法①のトランスクリプトーム解析で抽出した分子経路阻害剤を治療薬として用いることでアポトーシスが抑制でき るか検討する。アポトーシスの亢進を認めない場合は、軟骨基質のCol2a1遺伝子の発現をアウトプットして、同様の回復実験を行う。in vitro での表現型の回復作用を検証した後、治療薬の中で最も有効性が高い阻害剤をin vivoで応用する。Slc26a2-KOマウスに治療薬を投与することで表現型の回復を図り、予防・治療法としての有効性を検討する。
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