2022 Fiscal Year Research-status Report
ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死の病態機序の解明と,PAI-1の関与についての検討
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22K21051
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
木下 優子 近畿大学, 大学病院, 助教 (90962803)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 薬剤関連顎骨壊死 / PAI-1 / 組織線溶系 / 糖尿病 / ビスフォスフォネート製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨吸収を抑制するビスフォスフォネート(BP)製剤の開発により、骨粗鬆症や悪性腫瘍骨転移の治療成績は飛躍的に向上したが、重大な副作用としてBP製剤関連顎骨壊死(BRONJ)が問題になっている。BRONJのメカニズムには未だ不明な点が多く、治療方法は確立されておらず、根治が難しい。申請者らは、糖尿病(DM)モデルマウスを用いた検討により、plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)が、骨修復遅延に関与することを見いだした。本研究では、BRONJモデルマウスを用いて、BRONJの発症メカニズムと、発症・増悪過程におけるPAI-1の関与を検討することにより、BRONJの発症予防や治療成績を向上させることを目的としている。 本年度は、野生型(WT)マウスとPAI-1遺伝子欠損(PAI-1KO)マウスを使用し、ゾレドロン酸(ZA)投与により破骨細胞機能を抑制させた状態で、上顎第一大臼歯の抜歯を行うことでBRONJモデルの立ち上げを行い、顎骨壊死が誘発されることを確認した。さらにストレプトゾトシン(STZ)を投与することでDMを誘発し、顎骨壊死発症への影響を解析している。 具体的には、①WT、ZA(+)、STZ(-)②WT、ZA(+)、STZ(+)③PAI-1WT、ZA(+)、STZ(-)④PAI-1KO、ZA(+)、STZ(+)の4群を設定し、マウスの上顎第一大臼歯を抜歯した後、1、2、3、4週間後にマイクロCTで撮影し、抜歯窩に生じた新生骨を評価することで、創傷治癒遅延や顎骨壊死発症の状況について解析を進めている。さらに、抜歯4週後に解剖を行い、上顎骨を摘出し、抜歯窩の治癒過程の組織学的解析を進めている。これらにより、BRONJ発症のメカニズムにおけるDM状態の影響や、DM状態による血清PAI-1上昇のBRONJ発症への影響が明らかになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PAI-1マウスを用いたBRONJモデルマウス作製に時間を要していたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に作製したPAI-1マウスを用いたBRONJモデルを用いて、口腔内の肉眼的所見、マイクロCTを用いた骨密度、3D再構築画像解析、組織形態学的解析、免疫組織化学的解析、遺伝子学的解析、タンパク質解析、血清解析などを行う。 BRONJと糖尿病、また、それに関与するPAI-1の影響について検討することにより、BRONJの発症メカニズムの解明を行う。また、PAI-1がBRONJの発症、進行と深く関与する場合、PAI-1阻害剤局所投与によるBRONJの治療方法の開発検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度はPAI-1マウスを用いたBRONJモデル作製、プロトコル作成を主に行っていたため使用機材が少なく、予定額より実際に使用した金額が少なかった。次年度には得られた実験結果をもとに、学会発表や論文投稿を行い、遅滞なく研究に使用する。
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