2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K21058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高畑 惣介 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (90964875)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔腫瘍 / 骨破壊 / IL-7 / RANKL / 破骨細胞 / CD4 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス由来扁平上皮癌細胞株SCCVIIの2種類の亜株C3H/HeNマウス(4週齢・雌)の頭頂骨骨膜近傍に移植、1週から3週間飼育を行ったのちに低吸収型と高吸収型の2種類の病態モデルを作成し、腫瘍組織を比較した。検討にはμCT画像解析、組織学的解析、遺伝子発現解析、フローサイトメトリー解析を実施した。 骨と近接する腫瘍先端領域の解析において、高吸収型に出現する破骨細胞(TRAP陽性細胞)は低吸収型と比較して破骨細胞数が多いだけでなく細胞質が大きく、骨と隣接する部分以外にも分布していた。 また高吸収型には単球由来ではない樹状細胞由来のCD80陽性TRAP陽性細胞が腫瘍先端に多数集積していた。低吸収型腫瘍と比較すると高吸収型の腫瘍細胞からはIL-7が多く分泌されており、腫瘍内へのT細胞浸潤を促進させている。また、腫瘍内のT細胞(Th1)は破骨細胞周囲に集積しRANKLを発現することで破骨細胞形成を促進し、骨病変の病態形成に関与している可能性が示唆された。抑制型T細胞には両者の違いを認めなかったものの、樹状細胞由来の病的な破骨細胞分化に関わるとされるCD4陽性T細胞は高吸収型で多く蓄積することを認めた。そして、高吸収型腫瘍の腫瘍―骨界面領域においてCD4陽性RANKL陽性T細胞が多核巨細胞と接触している像を認めた。 近年、病的な骨吸収には生理状態では出現しない破骨細胞の関与が示唆されている。本研究では扁平上皮癌の骨病変においても病的な破骨細胞による骨吸収が存在する可能性を示した。 以上を日本口腔外科学会および大阪大学歯学会にて発表した
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