2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K21059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹下 登 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (80967688)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | CGRP / 歯根膜神経 / RAMP1 / 神経ペプチド / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の研究成果により、神経関連分子が骨代謝や炎症の制御に関係しているとの報告がされている。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は感覚神経終末から分泌される37アミノ酸で構成される神経ペプチドであり、血管拡張作用など様々な生理作用が報告されている。歯根膜は豊富な感覚神経支配をうけており、CGRP陽性の神経線維が認められる。近年CGRPは骨代謝に関与しているとの報告があるが、歯周組織の治癒過程におけるCGRPの作用については詳細に解析されていない。そこで本研究では、歯周組織におけるCGRPの機能を解明することを目的として、マウス絹糸結紮実験的歯周炎モデルを用いて歯周組織の創傷治癒過程におけるCGRPの機能を検討した。すなわち8週齢BALB/c野生型マウスおよびCGRP受容体の特異的構成タンパクであるRAMP1の遺伝子欠損マウスの上顎第二臼歯に5-0絹糸を結紮し、7日間飼育した後に絹糸の除去を行い、除去後さらに7日間飼育し、0、3、7、10、14日目に上顎骨のμCT撮影を行った。得られたμCT画像を用いて歯周組織の破壊、修復過程における歯槽骨の状態について野生型マウスと比較を行った。その結果、マウス臼歯絹糸結紮歯周炎モデルにおいて、Ramp1遺伝子欠損マウスは野生型マウスと比較し、絹糸除去後の歯槽骨の回復に遅延を認めることが明らかとなった。本研究結果は、歯周組織の治癒過程においてRAMP1受容体を介したCGRPシグナルが歯槽骨の再生に重要な役割を担っていることを示唆していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CGRPシグナルを受容できないRamp1欠損マウスは、歯周組織における歯槽骨の回復が遅延するとの結果が得られた。歯槽骨の再生にCGRPシグナルが関与する可能性のあるデータであり、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス臼歯絹糸結紮歯周炎モデルにおいて、Ramp1遺伝子欠損マウスはWTマウスと比較し、絹糸除去後の歯槽骨の回復に遅延を認めた。今後はHE染色、免疫染色等を用い、組織学的な解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスを用いた実験を行っており、交配することにより、実験に供するマウスを育てていたが、当初予定していたよりも必要なマウス数を確保するのに思いのほか時間がかかったため、本年度はCT解析を中心とした画像解析を行った。計画では組織学的な詳細な解析のため免疫染色の抗体等を物品費に計上していたが、購入にいたらなかった。次年度に組織学的に詳細な解析を行う予定である。
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