2022 Fiscal Year Research-status Report
コンドロイチン硫酸硫酸化転移酵素Chst11-KOマウスから紐解く口蓋裂発症の新たなメカニズム
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22K21060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横山 美佳 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60967701)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 口蓋裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究 1:Chst11ノックアウトマウスの口蓋突起において、酸化的リン酸化やATP産生の低下といったミトコンドリアの機能異常が引き起こされているかを明らかにすることとした。酸化的リン酸化の異常によるATP産生低下は、ミトコンドリアの機能異常が起こっていることを示している。実際に、口蓋突起が癒合する前の胎生14.0日において、Chst11ノックアウトマウスならびに野生型マウスの口蓋突起を実体顕微鏡下で切り出し、ATP Assay Kit- Luminescence(同仁化学)を用いてATP産生量を定量評価した。計測したATP量はサンプルに含まれる総DNA量で補正した。酸化的リン酸化はSim ard (PMID:29660116)の方法にて、未固定凍結切片を用いて比較検討した。これらの結果から、Chst11ノックアウトマウスの口蓋突起において 、ミトコンドリアの機能異常が引き起こされていることが明らかとなった。 研究 3:Chst11の欠失によってミトコンドリアの機能異常が引き起こされるメカニズムを明らかにする。酸化ストレスはミトコンドリアの機能異常の主要な原因であることが知られている。そこで、コンドロイチン硫酸の抗酸化作用について検討を行った。Chst11ノックアウトマウスならびに野生型マウス口蓋突起間葉組織より細胞を採取した。過酸化水素水を用いて酸化ストレスを誘導し、JC-1 Assay(同仁化学)を用いてそれぞれの細胞におけるミトコンドリアの活性を比較した。これによりコンドロイチン硫酸の硫酸化が抗酸化作用を介してミトコンドリア機能を保護していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1と研究3に関しては概ね順調に進展している。研究2に関してはこれから推進していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究 2:ミトコンドリア活性薬剤MA-5を用いて、Chst11ノックアウトマウスにおける口蓋裂発症が予防できるかを検討する。東北大学大学院医 学系研究科病態液性制御学分野および大学院医工学研究科分子病態医工学分野の阿部高明教授、松橋徹郎らは薬剤 Mitochonic acid 5(MA-5) を用いてミトコンドリアにおけるATP産生メカニズムを活性化できることを示している(Tetsuro M et al., 2017 eBioMedicine PMID:28579242 )。本研究では雌性Chst11ヘテロノックアウトマウス(雄性Chst11ヘテロノックアウトマウスと交配)に対して、妊娠12.5日、13.5日、14.5日に MA-5を1日1回経口投与し、E18.5にて胎児を取り出し、実態顕微鏡下で形態学的解析ならびにパラフィン切片を作製し、HE染色により組織学的解析を行う。これにより、ATP産生を促進することでChst11ノックアウトマウスにおける口蓋裂発症を予防できるかを検討する。
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Research Products
(1 results)