2022 Fiscal Year Research-status Report
新規顎裂部閉鎖治療を目指した乳歯歯髄由来間葉系幹細胞集団の同定と骨再生機構の解明
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22K21062
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
力武 航大 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (20964638)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 再生医療 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に従い、ヒト乳歯歯髄由来間葉系幹細胞(SHED)を FACS AriaⅡを使用し、フローサイトメトリーを行うことで、CD146の発現率を解析した。その結果、ヘテロなSHED細胞集団のうち、約70.9%がCD146を発現していた。同様にFACS AriaⅡを使用してセルソーティングを行い、SHED、CD146+SHED、CD146-SHEDを単離し培養した。 培養したこれら3種の細胞の骨分化能について比較、検討した。骨分化誘導を行い、28日後にAlizarin Red染色と吸光度測定を行った。また、骨分化誘導0、21、28日目骨形成関連マーカー(ALP、BMP-2、OCN)の発現について、定量PCRを用いた遺伝子解析を行った。Alizarin Red染色および吸光度測定の結果は、CD146+SHED、SHED、CD146-SHEDの順に濃く染色され、吸光度測定においてもCD146+SHEDがSHED、CD146-SHEDよりも有意に高い値を示した。骨分化誘導0日目はALP、BMP-2、OCNの発現について3群間で有意差を認めなかったが、骨分化誘導21、28日目では、ALP、BMP-2、OCNのいずれにおいても、CD146+SHEDにおいて有意に高い遺伝子発現を認めた。 これらの研究結果はCD146陽性SHEDが骨再生に有用であることを示唆した。 以上の研究結果をまとめ、2023年2月17日に論文としてInternational Journal of Molecular Sciences.17;24(4):4048.(査読有)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、歯髄細胞におけるCD146+細胞の含有率算出と細胞増殖能の検討および骨分化能の検討については、論文としてもまとめあげ、おおむね順調に進んでいると考える。しかしながら、ラット口蓋裂モデルを使用した動物実験やwestern blotによるCD146+SHEDにおける骨分化シグナル伝達機構の解明については未だ本実験に向けての準備や条件の検討を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
western blotによるCD146+SHEDの骨分化シグナル伝達機構の解明やラット口蓋裂モデルを使用した動物実験については現在本実験の準備や条件の検討中である。今後、条件を整えたのち、本実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ラットの動物実験が現在はまだ条件検討のための予備実験であり、当該年度は主に細胞実験をおこなっていたため少数のラットしか購入していなかった。このため、次年度使用額が生じた。この金額は翌年度分と合わせて動物や動物実験に使用する実験器具の購入費等に使用する予定である。
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