2022 Fiscal Year Research-status Report
骨肉腫発症・進展におけるTGFβ誘導性Myc過剰発現の時空間的制御機構とその役割
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22K21066
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上野 智也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (40968583)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / c-Myc / Runx3 / TGFβ |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、一般的に使用されている骨肉腫モデルマウス(Osx-Cre;p53fl/fl)(OSマウス)を使用して、骨肉腫発症機序の解明に取り組んできた。先の研究により、その基本軸は、がん抑制遺伝子p53不活性下における転写因子Runx3によるMycの過剰発現誘導であることが判明した。 本研究では、骨肉腫の発症・進展に影響を与える要因として、腫瘍微小環境因子TGFβに着目した。OSマウスから得られた骨肉腫細胞(OS細胞)にTGFβ刺激を与えたところ、Runx3を介したMycの過剰発現が誘導された。このOS細胞を用いて、さらに詳細に解析すると、Mycスーパーエンハンサー(MycSE)上には転写因子複合体が形成され、それによってMycの転写が促進するということがわかった。このMycSEを含めた転写因子複合体は、転写装置として機能すると考えられた。また、興味深いことにTGFβ刺激後、この転写因子の構成は時間経過に伴い変化している可能性が示唆された。この転写装置を不活性化させる目的で、Runx阻害薬やTGFβ阻害薬を使用したところ、この転写因子複合体の形成は阻害され、Mycの転写も抑制された。 このMycSEの骨肉腫発症・進展への影響を検証すべく、MycSEを欠損させたOSマウス(OS;MycSEΔ)を作製した。同様に、TGFβの骨肉腫発症・進展への影響を検証すべく、TGFβ受容体を欠損させたOSマウス(OS;Tgfbr2fl/+)を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス骨髄由来間葉系幹細胞株ST2からp53を欠失させた細胞(ST2p53Δ細胞)を作出し解析したところ、OS細胞と同様にTGFβ誘導性のRunx3を介したMyc過剰発現がみられた。さらに、MycSE上に転写因子複合体の形成も確認された。 また、OS;MycSEΔマウスとOS;Tgfbr2fl/+マウスの数は順調に増えており、期待通りの結果が出始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
OSマウス骨髄由来の間葉系幹細胞を採取し、この細胞を用いてこれまでと同様の解析を行う。加えて、既に作製済みのゲノム編集マウスを使用し、骨肉腫発症・進展の機序の解明に取り組む。
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