2022 Fiscal Year Research-status Report
介護老人福祉施設における夜勤の実態把握:夜勤とスタッフの健康との関連に着目して
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22K21075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中本 五鈴 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30966966)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 介護職員 / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
介護現場で介護職員の人材不足を訴える施設の割合は高止まりである。また、2025年度には約32万人の介護職員の増員が必要であると推計されている。したがって、新たな介護職員を確保するとともに、現在就労している介護職員の離職を防ぐことは、早急に取り組むべき課題である。そこで、本研究は高齢者施設で就労する介護職員の業務内容と職員の健康との関連を検討し、介護職員の健康維持・増進に寄与する業務の改善策への示唆を得ることを目的とした。 2022年度は、新型コロナ感染症の流行によって、研究対象としていた高齢者施設の介護職員の勤務形態および業務内容が通常時とは大きく異なっていた。そのため、新たなデータ収集は実施せずに、既存の高齢者施設の介護職員を対象に収集されたデータの解析を実施した。全国の高齢者施設から得た1,606名の介護職員を解析対象とした。介護職員が就労から得ているメリットと情緒的消耗感との関連を、重回帰分析を用いて検討した。結果として、多様なメリットを感じていることと、健康維持・増進や時間活用という自分自身に目を向けたメリットを感じていることが、情緒的消耗感の低さと関連していた。健康維持・増進や時間活用という自分自身に目を向けたメリットを感じることができる業務および就労形態が介護職員の精神的健康の維持・向上に寄与する可能性が示唆された。これまで、介護職としての就労は社会貢献というメリットに注目されることが多かった。今回の結果より、社会貢献というメリットだけでなく多様なメリットが得られる職場環境を整えることが必要であるという、介護職員の離職予防に新たな視点を追加することができたことは社会的意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、新型コロナ感染症の流行によって、研究対象としていた高齢者施設の介護職員の勤務形態および業務内容が通常時とは大きく異なっていたため、新たなデータ収集を実施することができなかった。しかし、既存のデータを分析し、調査票の作成時に参考となる有益な結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年5月より新型コロナ感染症が5類に移行する予定であり、高齢者施設での感染症対策も大きく変更となる可能性が高い。そのため、2022年度の調査結果を参考に調査票を作成し、7月頃にアンケート調査が実施できるように、対象施設へ協力依頼を実施する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、新型コロナ感染症の流行によって、研究対象としていた高齢者施設の介護職員の勤務形態および業務内容が通常時とは大きく異なっていたため、対象施設に訪問し新たなデータ収集を実施することができなかった。2023年5月より新型コロナ感染症が5類に移行する予定であり、高齢者施設での感染症対策も大きく変更となる可能性が高い。そのため、2023年度は、2022年度に使用予定であった対象施設への訪問に伴う旅費とインタビューおよびアンケート調査実施の経費が発生する。
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