2022 Fiscal Year Research-status Report
自宅で看取られず死亡した背景要因の解明―法医学情報による孤独死の実態把握―
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22K21084
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山崎 雪恵 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60444676)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 孤独死 / 孤立死 / 法医解剖 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医学情報を用いた一地域における孤独死事例の詳細な分析から、孤独死のリスク要因を明らかにし、その予防対策へつなげることを目的とした。研究方法として、過去の法医解剖事例から自宅死亡事例を抽出し、各事例について詳細な調査を行った。自宅死亡事例について、死亡から発見されるまでの時間によって分類し、独居者、非独居者についてそれぞれの特徴について記述した。 令和4年度の解析では、2017~2021年の法医解剖事例を対象とした。この5年間に行われた法医解剖は891例であった。このうち調査対象となる自宅死亡事例の343例を、独居で死後3日以上たって発見された事例を孤独死群、独居者かつ死後3日未満で発見された事例および非独居事例を非孤独死群として分類した。それぞれの群についての特徴を明らかにすることを試みた。 孤独死群の特徴として、非孤独死群と比較して年齢が低く、男性の割合が高いことが明らかとなった。孤独死群では、無職が多く、介護認定がされている場合でも介護サービスの利用がない、近所付き合いがない、などの社会的に孤立している状況が窺われた。これらの研究成果を第107次日本法医学会学術全国集会にて発表予定である。 また、同居者がいる場合であっても死後、発覚するまでに時間を要する事例も少なからず存在し、独居者の死後発見されるまでに時間のかかる事例とは別に、これらの事例についての詳細な解析の必要性も明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は2017~2021年の法医解剖事例から自宅死亡事例を抽出・調査したが、単年度の調査対象年数として申請当初より多くしたため、調査に予想以上の時間がかかった。また、年度当初には、社会とのつながりを指標として孤独死を定義する計画であったが、調査の結果想定以上に欠損値が多かったことから、孤独死の定義の方法を見直したことも影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況に記載した通り、当初の孤独死の定義として想定していた指標を用いず、死後から発見までに要した日数により孤独死と非孤独死を分類し、孤独死の特徴を明らかにすることとした。 残りの対象期間である2009-2016年の自宅死亡事例の調査を進める。 2022-2023年の解剖事例について、解剖後に検査を行った事例を抽出し、検査結果から生前の疾患について明らかにできるかを検討する。 2009年から2023年までの自宅死亡事例から孤独死発生の年次推移、孤独死のリスク要因を明らかにし、その予防対策について考察をする。
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Causes of Carryover |
解剖鑑定のための剖検試料の医学的検査結果を利用した孤独死と生前の病歴との関連分析について、一部を次年度実施としたことから、検査試薬等に要する経費を繰り越した。次年度は孤独死と生前の病歴との関連分析にも力点を置く予定であり、必要な医学的検査の実施に経費を使用する。
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Research Products
(1 results)