2023 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の認知的フレイルの病理背景と保護因子に関する長期疫学縦断研究
Project/Area Number |
22K21088
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
赤井田 将真 鹿児島大学, 医学部, 特任研究員 (80965567)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | フレイル / MCI / 認知的フレイル / 生活行為 / 動脈硬化 / CAVI / 高感度CRP / 地域在住高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究(2022年度および2023年度)における高齢者の認知的フレイル(握力および歩行速度から判断される身体機能低下と軽度認知障害の併存)を有する者の割合は2022年度調査では6.8%、2023年度調査では6.2%であった。2018年度から2023年度までを連結した5年間の追跡データ分析では、初期調査時に健常であった者の内、2.5%に認知的フレイルの発生が認められた。 認知的フレイルおよび血管機能、血液データ、生活活動について経時的な調査を行い、認知的フレイルの背景病理および保護因子の検討を行った。認知的フレイルと平均CAVI値(mean cardio-ankle vascular index)および高感度CRPの関連を検証した結果、平均CAVI値と有意な関連が認められ(p<0.001)、高感度CRPとの有意な関連は認められなかった(p=0.576)。さらに、共変量(年齢、性別、服薬数、教育歴、抑うつ、栄養状態、LDLコレステロール、クレアチニン、高感度CRP、喫煙)で調整した多変量解析の結果、健常群を参照として、認知的フレイル群は有意に平均CAVI値が高値であることと関連が認められた(オッズ比:1.62、95%信頼区間1.14 ― 2.30)。 認知的フレイルと12種類の生活活動(身体的、認知的、社会的活動)との関連を検証した結果、週に1回以上の軽い運動や定期的な運動、土に触れる機会を有することや、地域の祭りや行事への参加、町内会活動への参加、ボランティア活動に取り組んでいる者は認知的フレイルを有する者の割合が有意に低かった。 動脈硬化の指標でもあるCAVIを制御することや、積極的な生活活動への参加を促すことは認知的フレイルの予防的視点として有益かもしれない。
|