2022 Fiscal Year Research-status Report
肺移植術後患者の呼吸困難に対する送風療法の有効性の解明:パイロット研究
Project/Area Number |
22K21090
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
佐藤 智夫 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (30964142)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 肺移植 / 集中治療室 / 送風療法 / 呼吸困難 / クリティカルケア / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当初の計画と変わらず、集中治療室(ICU)に入室した肺移植患者の呼吸困難に対する送風療法の有効性を検証することを研究の目的として進めている。 初めに、これまで集中治療室での重症患者では検証されていない介入である送風療法について、安全で臨床に適した方法を特定するために、スコーピングレビューを実施した。その結果、集中治療室では生命維持装置などがベッド周囲に多く存在し、スタンド型の扇風機よりもテーブル型の携帯用扇風機が適していると結論付けた。また、有害事象の報告もなく、集中治療室に入室中の重症患者にも安全性が高いことが示唆された。 次に、無作為比較試験を計画するための適切なサンプルサイズを決定し、安全性や研究実現可能性を検証するため、前後比較試験を開始した。前後比較試験は、ICUに入室した肺移植患者8名を対象に、スコーピングレビューの結果から推奨される安全かつ臨床に適した送風療法の介入方法を実施した。ICU滞在中、患者が呼吸困難を起こした際に、テーブル型の携帯扇風機を使用して、患者の顔に向けて5分間送風した。生理的徴候を注意深く観察し、目の乾燥や送風による不快感などの潜在的な有害事象を適時評価することで、介入の安全性を確保しました。前後比較研究は神戸市看護大学および京都大学医学部附属病院の倫理審査会の承認を得た後に開始している。 前後比較試験の結果は、安全性と実現可能性を検証し、安全で適切な介入方法を用いて無作為比較試験を進めるための基礎資料とする。無作為比較試験では、前後比較試験の結果から効果量を割り出し、適切なサンプルサイズを用いて研究を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の遅れの理由は、クリティカルケア領域では送風療法の検証が行われたことがなかったため、安全性や介入方法について検討されていなかった。そのため、研究の進行にあたり、安全性と適切な介入方法の確認が必要だったため、当初予定していなかった送風療法のスコーピングレビューや前後比較試験を追加して行った。そのため、スケジュールに遅れが生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
スコーピングレビューにて集中治療室の肺移植患者への安全性の高い送風療法の介入方法で、前後比較試験を行なった結果から、有害事象への対策や無作為比較試験の実現可能性を検証する。また、効果量を特定し、適切なサンプルサイズを測定したのち、当初予定していた無作為比較試験が始める。肺移植は国内でも症例数が少なく、リクルートに長期的期間を要することから、少ないサンプルサイズで有効性を検証するため、無作為クロスオーバー比較試験を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況については、研究初期の費用が主な要因である。具体的には、本研究を行うために必要なスコーピングレビューおよび前後比較試験を開始したことから、必要なコストが発生している。また、無作為比較試験で使用する携帯用扇風機の購入費用も含まれている。 次年度の使用計画については、前後比較試験の結果を基に、無作為比較試験を開始する予定である。そのため、無作為比較試験に必要な費用、例えば更なるデータ収集や分析、および必要な解析ソフトや維持費用、英文校正、論文投稿費が主な使用額となる。これらの活動は、肺移植患者の呼吸困難の症状マネジメントという重要な課題に対する有効な解決策を提供することを目指している。
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