2022 Fiscal Year Research-status Report
The effects of fluoride on the central nervous system of the F1 rats by the exposures via placenta, dam's milk, and/or drinking water.
Project/Area Number |
22K21100
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 衛生学公衆衛生学, 助教 (30821780)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | フッ素 / 二世代曝露 / ラット / 行動学試験 / 脳神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年フッ素の高濃度曝露による中枢神経系への影響が注目され、学習能力低下や統合失調症等が懸念されているが、まだ不明な点も多い。そこで本研究では、神経系が発達する胎児期~発達期のラットを用いて二世代曝露実験を行い、フッ素による神経毒性、特に記憶学習能力に関する基礎的資料を得ることを目的とした。 まず妊娠ラットに飲み水を介したフッ素曝露を行った。曝露濃度は対照群0ppmに対して曝露群150ppmとし、母ラットへは出産後も引き続き曝露を行い、F1ラットへは母乳を介しての曝露となった。F1ラットは3週令での離乳後、曝露群を二つに分け、0ppm群と150ppm群を設定した。つまり、対照群CC、胎児期~発達期曝露群FC、連続曝露群FFの三群に分けて12週令まで飼育し、定期的に体重や餌・水摂取量を測定した。11週令時には、短期及び長期記憶を評価する受動的回避試験の訓練試行を実施した。これは明室から暗室への侵入と電気刺激を関連付けて記憶させる実験である。訓練試行で一定時間明室に留まるようになったら、1週間後(12週令)に再びラットを明室に入れて暗室への移動時間を測定した。その後、Y字型迷路試験を実施し、迷路内を自由に探索させた際の自発的交替行動により短期記憶の評価を行った。行動学試験の翌日、ラットを解剖して脳を7部位(大脳、小脳、延髄、中脳、線条体、海馬、視床下部)に分割し-80℃で保存した。また重量計測後の肝臓と腎臓、血漿も-80℃で保存した。 オスの体重増加は、3週令から4週令まではCC群と比べてFC群もFF群も有意に低かった。FF群はその後も12週令までCC群に比べて有意に低く、6週令から12週令まではFC群に比べても有意に低かった。離乳直後のFC群とFF群の体重がCC群より有意に小さいことから、母ラットを介したフッ素曝露の影響が考えられる。なお行動学試験の結果は現在解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験の倫理審査に時間がかかり、その結果、研究開始時期が遅くなった。また一部の実験装置の購入が遅れ、計画にやや遅れが生じている。しかし、実験開始後はスムーズに進行しており、最終年度において予定通り実験を実施することは十分可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画書に従って、引き続き二世代曝露実験を行う。合わせて-80℃で保存している脳の各部位から、神経伝達物質(ドパミン、セロトニン)及びその代謝産物(ドパミンの代謝産物DOPAC及びhomovanillic acid、セロトニンの代謝産物5-HIAA)を抽出する。抽出した神経伝達物質及びその代謝産物は、高速液体クロマトグラフィーを用いて部位毎に定量し、脳への曝露影響を評価する。大量に試料が確保できた大脳については、フッ素濃度やセリンの定量も検討している。
|
Causes of Carryover |
未使用額の発生は、一部の実験装置の納品が遅れたためである。ただしそれ以外は効率的な物品調達を行った結果であり、次年度申請する研究費は、当該の実験装置、試薬および消耗品等に充当する予定である。
|