2023 Fiscal Year Annual Research Report
原子力災害から10年が経過した福島県内と県外住民へのリスクコミュニケーションの検討
Project/Area Number |
22K21118
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
肖 旭 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (00960890)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 福島第一原発事故 / 長期避難 / 放射線リスク認知 / リスクコミュニケーション / 避難先 / 震災復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東京電力福島第一原子力発電所事故から11年後に帰還を開始した福島県双葉郡双葉町住民の帰還企図、放射線リスク認知や、政府の放射線対策に対する認識度、処理水の放出に対する不安、生活の質や心理的健康状態などの変数を分析し、放射線リスク認知に影響を与える主要因子を把握することを目的とする。また、避難地域の異なる住民の帰還企図を分析し、リスクコミュニケーションの重点対象や内容、効果的なコミュニケーション方法を見つけ出すことを目指す。 2022年6-7月に、福島県内、および県外に避難している双葉町住民にアンケート用紙を送付した。回答した404名のうち、福島県内に居住する者は274人(67.8%)、県外に居住する者は130人(32.2%)であった。県内と県外避難者の間で帰還企図、処理水の放出に対する不安、水道水に対する不安、双葉町の整備等への期待している住民の頻度に有意差は認められなかった。 一方、県内避難者は、定期通院患者の割合が高く、放射線相談施設を知っている人が多かったのに対し、県外避難者は、双葉町に住むことによる健康影響へのや放射線が次世帯に影響を与える可能性についての懸念を抱く割合が高かった。 一方で、本調査はアンケートの回収率が低いため、選択バイアスが存在し、代表性が不十分である可能性がある。これを改善するため、今後対象者を拡大し、アンケート内容を改善するとともに、QRコードを使用するオンライン回答方法も導入し、より多く住民からアンケートを回収できるように努める。
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