2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Oral Care Protocol for COVID-19 Positive Elderly Patients During Prone Therapy
Project/Area Number |
22K21125
|
Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
板橋 みずほ 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (40963799)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 看護ケア/nursing care / 口腔衛生/oral hygiene / 新型コロナウィルス感染症/SARS-CoV-2 / 細菌叢/microbiota |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、要介護状態にあるCOVID-19陽性高齢者(以後、COVID-19高齢患者とする)に対する入院中の口腔ケアと口腔衛生状態を細菌叢を指標に評価するための研究の1年目であった。研究者が在籍の本学の本研究室は、生物学的実験研究の経験がなく、研究を行うための場所づくりや分析のための共同研究者を探すところから始める必要があった。 併設病院の検査ラボにかけあったところ、大学関係者も使用可能と判明した。ラボの見学と使用交渉を重ね、検体を収集後に前作業を行ったり、保管のための場所を借りることが可能となった。 ラボの協力を仰ぎ、連携先の検査会社により検体からのDNA抽出や細菌叢のデータ化、解析まで受託可能とも判明した。一方、前処理を行うラボではCOVID-19患者の検体はバイオセーフティレベル上取り扱いができないとわかり、いかに検体の処理を行うかで難渋した。 検討の折、ラボ内の協力者よりCOVID-19のウィルスを不活化する試薬を取り扱う業者について情報提供があり、担当者とミーティングをし、サンプルを取り寄せられることとなった。試薬の妥当性を検証するため、健常人の舌苔サンプルを用い、検討対象のウィルス不活化試薬と通常のPBS溶液とで舌苔サンプルを保管した2群で細菌叢の比較を行った。その際、口腔ケア前後でもそれぞれ検体を採取し、比較した。 その結果、試薬の違いは細菌叢解析の結果には影響を与えなず、ウィルス不活化試薬を用いて細菌叢解析は可能と判断した。口腔ケア前後は2時間の間隔をあけたが、口腔ケア前後でも細菌叢の組成や多様性に影響がないことも判明した。 これらの成果は、自前の測定ラボを持たず、生物学的実験研究の土壌がない研究場所であっても、多職種との連携があれば実験研究が可能であると示した点で意義がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19患者の舌苔サンプル取り扱いにあたり、バイオセーフティレベルが2以上で取り扱わなければならず、併設のラボでの検体取り扱いが困難であったと判明した。 検体をいかに検査に出すかにおいて工夫をする必要があり、方法検討のため時間を要し、予想より進捗が遅れている。 検討の結果、ウィルスを不活化する試薬を用いることでバイオセーフティレベルはクリアできると判明した。実際の試薬と健常人の舌苔サンプルを用い、通常の試薬と不活化試薬とで、検体の細菌叢解析結果に相違がないことを確かめた。これより、不活化試薬を用い、COVID-19患者舌苔サンプルの細菌叢解析が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本試験施行にむけて研究計画書を練り、所属の倫理審査委員会への承認準備を行っている。先行研究でも示されてはいたが、不活化試薬のテストの際、口腔ケア前後2時間ではほぼ細菌叢に影響を及ぼさないと実証されたため、サンプリングは入院直後~1,2日後のプレ、入院後1週間~退院までのポストの2地点で行うとする。倫理審査申請書の準備をしながら、併設病院の責任者に研究協力についての相談を始め、患者のリクルーティングと本試験を8月~9月には行えるようにする。
|
Causes of Carryover |
細菌叢解析が予想より高額であったため、口腔細菌カウンタの使用をやめ、ATPを代替指標とすることを検討した。ATPのサンプルテストは無料で済んだため、その分設備備品費が浮いた。翌年度の本試験における細菌叢解析に使用する。
|