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2022 Fiscal Year Research-status Report

Suicide Risk Assessment Methodology and Preventive Factors Based on Forensic Information.

Research Project

Project/Area Number 22K21128
Research InstitutionMeiji University of Integrative Medicine

Principal Investigator

村上 龍  明治国際医療大学, 保健医療学部, 助教 (10966675)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywords自殺 / 自殺予防 / 法医学 / 精神医学 / 警察 / 監察医 / 危機管理
Outline of Annual Research Achievements

本研究における主要な成果として、次の3つの項目を挙げる(各項目について学会発表演題採択済)。
①監察医事務所・警察機関の取扱う情報(検案要請書)を活用して統計調査を実施し、自殺既遂者の特徴を分析することができた(次項②、③を参照)。我が国において監察医事務所と警察機関が取扱う情報を活用した自殺者の疫学調査に関する研究は行われておらず、本研究結果は自殺調査における新たな情報源を模索する上で大きな成果であるといえる。②検案要請書に記載された自殺者情報のうち、精神科受診歴のある自殺既遂者について、精神科を最後に受診した日から30日以内に自殺を実行する割合が高いことが明らかとなった。③検案要請書に記載された自殺者情報について多変量ロジスティック回帰分析を実施し、自殺既遂者の精神科受診歴の有無に有意な関連がみられる因子を調査した。調査の結果からa, 性別カテゴリーが男性に対して女性(調整オッズ比, 1.87; 95%信頼区間, 1.12-3.12)、b, 職業カテゴリーが無職である者に対して正規雇用の者(調整オッズ比, 0.47; 95%信頼区間, 0.26-0.87)、c, 職業カテゴリーが無職である者に対して学生である者(調整オッズ比, 0.05; 95%信頼区間, 0.01-0.44)で有意な関連があることが示唆された。
※③の結果の解釈: 自殺者のうち生前に精神科を受診していたことに関連する因子として性別が女性であることが挙げられ、自殺者のうち精神科を受診したことが無いことに関連する因子として正規雇用者、学生が挙げられる。

項目②、③の結果から、自殺を実行する可能性が高い属性の存在が示唆された。
今後さらなる継続調査を実施し、自殺企図者の早期発見に寄与する因子を解明する必要がある。自殺企図のハイリスク群に対する重点的なアプローチの実施は自殺予防と早期医療介入の鍵であると考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究はA, 検案要請書の記載事項をデータベース化し、B, 作成したデータベースから自殺と関連のある因子を分析し、C, 自殺者の背景情報と自殺との関連性を検討することを目的としていた。
まずAについて、特定の期間(現時点で2017年、2019年)においてデータベース化を完了している。次にBについて、精神科受診歴の有無と自殺者の背景因子(性別、職業、生活保護の受給の有無、居住場所における同居人の有無)に関する統計解析を実施している。次にCについて、統計解析の結果から精神科受診歴と自殺者の背景情報(性別、職業、精神科の最終受診日)との関連性が示唆されている。しかしながら、COVID-19等感染症流行に起因する監察医事務所等への実地調査の停滞やデータ入力作業の進行上の都合から、本研究に用いた分析用データベースの情報量が限定されたことも事実である。引き続きデータベースの入力作業と統計処理を実施し、分析結果を慎重に精査することが必要であると考え、本研究は概ね順調に進展していると評価した。
「研究実績の概要」に記載の項目①~③の内容に関連して本研究における現在までの学会発表等の予定を示す。項目①、②の内容に関する学会発表等について【『採択演題』第26回日本臨床救急医学会総会・学術集会 演題名: 検案要請書を活用した自殺者調査の報告=自殺の疫学調査における新たな情報源の検討= 演題発表予定: 2023年7月29日, 2023年5月23日現在】で発表予定である。項目③の内容に関する学会発表等について【『採択演題』第119回日本精神神経学会学術総会 演題名: 検案要請書の情報に基づく自殺者の精神科受診に寄与する因子の検討 演題発表予定日: 2023年6月22日, 2023年5月23日現在】で発表予定である。

Strategy for Future Research Activity

本研究の進行途中でCOVID-19の感染症法上の位置づけが2類相当から5類感染症に変更となった。また、著名人の自殺事案に関する報道も相次ぐなど、社会情勢の変動が著しい。現在、本研究は単一年度で発生した自殺者の分析が主軸となっている。次の方策として、先に述べた社会情勢の変化が自殺者の特徴にどのような影響をもたらすのかを分析するべく、複数の年度(特にCOVID-19流行以前、以後)をまたいだ統計解析を実施することを検討している。
本研究は監察医事務所と警察機関が取扱う文書情報を基に自殺者の調査を行う新たな試みである。したがって、当該文書をデータベース化する作業から始まり、作成したデータベースの統計解析を実施するまでの過程についても前例が無い状態からの進行となっている。このことから、1, 当該文書情報の入力作業の効率化、2, データベースの項目から自殺者の特徴や自殺予防に資する因子を解明することに適した統計解析手法の検討を更に深め、研究手法自体に磨きをかける必要があると考えている。具体的な方法論として、1, 自殺者に関する情報を記載する文書の書式について、継続的な統計解析を実施することに適した書式の発案と関係機関(監察医事務所、警察行政機関等)への提案を視野に入れた検討、2, 現時点ではコレスポンデンス分析と多変量ロジスティック回帰分析を主軸としている自殺者の統計解析について、より緻密な分析と自殺事案の発生予測につながる仕組みづくりの検討、について作業を進めている。
将来的には行政機関等が自殺事案を認知・対応した段階で自殺者データバンクに担当官が情報を直接入力することができるようなシステムの構築を目指して研究を進める。また、自殺企図者の予測や予防につながる因子の解明と、それらの因子を活用した自殺事案予測・防止に関する仕組みの社会実装を最終目標に掲げる。

Causes of Carryover

次年度使用額が発生した経緯として、1, COVID-19による研究調査の遅延、2, それに伴う学会発表スケジュールの変更が生じたためである。本研究の全体的な進行状況は概ね順調ではあるが、先に述べた事象から本研究の成果について学会発表を通じた社会への情報発信を2022年度中に実施することができなかった。
次年度分に期間延長手続きを実施し、繰り越された使用額については当初の予定通り1, 関係機関との研究打ち合わせ等、本研究調査の進展に資する事項、2, 本研究成果の学会発表、学会誌への投稿等社会への情報発信とそれに関連する事項、に割り当てて使用する計画である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 検案要請書の情報に基づく自殺者の精神科受診に寄与する因子の検討2023

    • Author(s)
      村上龍, 上久保敦, 守岡大吾, 皆藤竜弥, 高橋司, 黒木尚長
    • Organizer
      第119回日本精神神経学会学術総会
  • [Presentation] 検案要請書を活用した自殺者調査の報告=自殺の疫学調査における新たな情報源の検討=2023

    • Author(s)
      村上龍, 上久保敦, 守岡大吾, 皆藤竜弥, 高橋司, 黒木尚長
    • Organizer
      第26回日本臨床救急医学会総会・学術集会

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Published: 2023-12-25  

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