2023 Fiscal Year Annual Research Report
災害時・平時の高齢転居者の精神的健康の軌跡と関連する住まいの環境要因
Project/Area Number |
22K21138
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松岡 洋子 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (20964141)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 社会疫学 / 転居 / 高齢者 / 精神的健康 / 災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究により、以下の点を明らかにした。 ①震災直後の転居が精神的健康に与える効果と、その効果を説明する要因:高齢者を対象とした震災前後の調査データを分析したところ、震災直後に仮設住宅に転居した人は転居しなかった人と比較して、震災約半年後のうつリスクが3.8倍であった。一方で、そのリスクはグループ参加に変化があった人では約4割軽減されていた(Matsuoka et al., 2023, BMC Public Health)。 ②震災直後の転居と中長期の精神的健康の推移との関連:①と同一地域の高齢者を追跡し、震災約半年後から3年半後までの2時点間の推移に着目したところ、転居しなかった人と比較して、仮設住宅に転居した人ではうつ・PTSD症状の慢性的不調リスクが高く、みなし仮設や賃貸住宅など仮設住宅以外への転居ではうつ・PTSD症状の慢性的不調リスクに加え、PTSD症状の遅発リスクが高い傾向にあった(松岡ほか2023、第82回日本公衆衛生学会総会口演賞)。 ③平時の転居と精神的健康との関連:1自治体の高齢者を対象とした横断調査データを分析し、転居後5年未満で住まいに不満がある人は、住まいに満足している長期居住者と比較して、うつリスクが高いことを明らかにした。また、転居後5年未満の不満と関連する住まいの要因(住宅・近隣環境・近隣の人との関係)として、特に住宅設備や家賃・維持費との関連が見られた(松岡ほか2022、第81回日本公衆衛生学会総会)。 以上の結果から得られた示唆として、震災による転居については、仮設住宅で住民が従来のグループ活動への関わり方を変化させるなど、つながりを最適化することで短期的には転居ストレスが軽減される可能性がある。一方で、中長期にわたる転居者の精神的ケアの必要性も示唆される。平時の転居については、住宅設備の充足や経済問題の解消などが精神的健康の悪化予防に重要と考えられる。
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Research Products
(11 results)