2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K21144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西岡 典宏 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30967899)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 院外心停止 / 疫学 / 救急医療 / 治療撤退 / 心肺蘇生 / 終末期医療 / 心停止後症候群 / 集中医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,心停止後の終末期治療の現況を調査し延命治療の中止決定に寄与する要因を探索すること,及び早期の治療差し控えが心停止患者の予後に与える影響を検証することである. 令和4年度は申請者が所属する研究グループがこれまで構築した院外心停止患者の多施設共同レジストリを基盤に、その集中治療の中止や終末期治療に関わる情報を収集し新たにデータベースを構築する準備を行った.これまでの先行研究の枠組みは継続し,データの前向き登録・分析を継続した.新規に収集する項目については,研究協力者である大阪府内14の救急医療機関と新規に研究参加する施設の代表者らと研究会議を概ね月1回のペースで定期的に開催した.新たに追加する終末期医療のデータ(自己心拍再開前・再開後の治療撤退)について方針を議論し,収集する項目を定義し,データベースの追加収集事項を決定した.データシートの確定,データベースの入力様式も定め,令和5年5月に症例集積を開始する予定である.また,予後不良患者を同定するための予測モデル,解析案についても,検討を行った.今後の解析案についても検討し,終末期の治療の内容やタイミングなどの項目について,年齢調整発生率を算出し,既存の研究から国際比較を行う。更に、多変量解析を用いて,終末期医療の決定に寄与する要因を明らかにする. 研究として,米国心臓協会 (AHA) 年次学術集会において,先行する自己心拍再開後の院外心停止における90日後神経学的転帰の早期予後予測の外的検証について発表を行った.本発表は,院外心停止患者の早期治療方針決断の一助となる可能性があり,終末期治療の質向上に寄与すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究体制を更に発展させ、大阪府内の全救命救急センターを含む16施設に新たな参加施設を加えた体制を構築して研究を継続している。施設担当者とは定期的に会議を開催し、データの継続的な収集や質の維持できる項目を定義し、データベースの追加収集事項を決定した。今回の研究は心停止患者における延命治療に関するデータの収集を目的としているため、データ収集が容易ではなく、収集において遭遇する問題点や内容の不一致については、相談しながらデータ収集内容を一貫性のあるものにした. また、研究データの信頼性と一貫性を保つために、データ分析の前に統一された分析プロトコルを確立した。さらに、患者の治療に関するデータの収集方法についても検討した。具体的には、病院や医療機関の電子カルテ、医療従事者からの情報などからデータを収集した。また、研究機関のスタッフに調査を行い、実際の治療現場での医療者の意見や判断基準を取り入れ、データ収集の問題点や改善策を考察した。 現在、症例登録開始についてはやや遅れていますが、データ取得の準備は順調に進んでおり、今年度5月ごろにはデータ取得が開始できる見込みである。データの分析を予定し解析計画も完成しており,解析の準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、院外心停止患者の多施設共同レジストリを基盤にデータ収集と解析を行う。今後もデータの収集と解析を継続し、より正確かつ包括的な結果を得るために、より多くの施設からの参加を促進する。また、データベースの質を維持するため、適切なデータ管理システムを導入する。また、結果の発表と社会への普及のため、研究結果を、医療者や患者、一般市民に向けて広く発表する。さらに、研究成果を基に、医療施設や政策立案者との協力を進め、終末期医療の改善につながる取り組みを促進することが必要である。さらに、研究成果を基に、治療指針の策定を行うことが必要です。特に、延命治療の中止決定に寄与する因子を同定することで、医療者や家族の意思決定をサポートする指針を策定することが望まれます。また、患者の尊厳を損なうことなく、最善の終末期医療を提供するための指針を策定することも必要である。それに加えて、本研究は、患者の意思決定に影響を与える法律や倫理の側面も重要である。そこで、法律家や倫理学者など、他分野の専門家との連携を進めることが必要となる。また、研究結果をもとに、教育分野でも啓発活動を行うことが望まれる。
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Causes of Carryover |
体制構築やデータ収集の準備は継続していたが,COVID感染症の影響もあり研究のデータ収集開始が若干遅れたため,必要物品の購入を次年度に変更したため.
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Research Products
(1 results)