2022 Fiscal Year Research-status Report
不確かさ不耐性特性が放射線リスク認知とリスク受容に及ぼす影響に関する実証研究
Project/Area Number |
22K21149
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柏崎 佑哉 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (30947031)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線リスク認知 / 不確かさ不耐性 / 東日本大震災 / 原子力災害 / Well-being / リスクコミュニケーション / リスクリテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東京電力福島第一原子力発電所事故後の個人の放射線の健康リスクに対する認識ついて、心理的な関連要因としての不確かさ不耐性特性に着目し、放射線の健康影響に関する知識の有無と併せ、その関連について質問紙調査を用いて定量的に検証することを目的としている。また、その他の放射線リスク認知への関連要因として、リスクリテラシーといったリスク全般への理解や能力、リスク受容性といった態度の側面も併せて調査する。このことにより、放射線の健康影響に関する情報提供やリスクコミュニケーションのみならず、個人のリスク全般に対するリテラシーの向上が特定の放射線リスクへの理解促進に果たす役割について検証することが可能である。とりわけ、福島県外の住民の放射線リスク認知は県内居住者に比べて「健康影響がある」と考える割合が高いと報告されており、リスク教育の観点においては、リスク全般への理解向上が福島の放射線災害への理解に果たす役割について確認することは重要である。さらに、アウトカム変数にはWell-beingの指標を用い、放射線および全般的なリスクへの理解が心理的な健康に及ぼす影響について検証することとした。 これまでに、上記の目的を達成するためのアンケート質問内容について検討、精査し、先行研究を収集して調査内容を確定した。現在、倫理申請を行い、オンライン調査委託先の調査会社を選定している。今後は調査を実施し、得られたデータに基づいて結果を解析、論文化を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度末の2月あるいは3月にオンラインアンケート調査の実施を計画していたが、質問紙の作成のための先行研究の調査、信頼性・妥当性を有する心理尺度の選定、分析モデルの精査等の研究計画策定に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理審査の結果を受理後、速やかにオンラインでのアンケート調査を実施する。オンライン調査では、調査開始後1週間程度で調査データが納品される見込みである。その後、福島県内、県外の対象者別に調査変数の記述統計量を確認し、Well-being尺度、不確かさ不耐性尺度、リスクリテラシー尺度、リスク受容性尺度の信頼性係数、相関係数の算出といった統計処理を実施する。最終的に、放射線リスク認知に対する不確かさ不耐性尺度の関連を評価するため、重回帰分析あるいは構造方程式モデリングの手法を用いて多変量解析を行い、説明変数同士の関係について検証し、ディスカッションを行う。
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Causes of Carryover |
令和4年度末に実施を計画していたオンラインアンケート調査について、令和5年度の実施に延期としたため、残額はオンライン調査費用に充てる。
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