2023 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケア領域における看護記録の感情分析手法の検討と臨床アウトカムとの関連
Project/Area Number |
22K21167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
升川 研人 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50964681)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 緩和ケア / 自然言語処理 / 機械学習 / 遺族調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、緩和ケア領域の看護記録に対する既存の感情分析手法の妥当性を評価し、最適な手法により出力された感情スコアと緩和ケアの臨床アウトカム(がん患者の予後、せん妄発生、QOL)との関連を明らかにすることを目的としていた。2018-2019年で日本の大学病院1施設で死亡したがん患者の電子カルテデータ(死亡前1ヶ月)を用いて実施を行う予定であった。しかし、緩和ケアの質評価に関するアンケート調査への応用時点で既存の手法で出力されるスコアは、医療者の感覚と大きく異なり大きくマイナスに偏ることが明らかになった。既存の手法をもとに新たな手法の開発に取り組んだものの、アノテーションの基準が問題点として挙げられた。具体的には、医療者や診療科、その時の状況によってポジティブと捉えるのか、ベガティブと捉えるのかは大きく異なるために、一定程度のアノテーションのコンセンサスを得ることが難しいことがわかった。 加えて、がん患者遺族に対するAIニーズを明らかにするためのWEB遺族調査内で付帯研究を実施した。その中で、いずれも予後予測へのニーズは高いことが明らかになった。そのため、既存の感情分析を活用しより性能を向上させるとともに、説明可能なAIを構築することの必要性を明らかにできた。今後は、既存の感情分析から出力されるスコアを用いて、それぞれのAIへの活用を検討していく必要があると考えた。また、今度今回の規模では実現できなかったがより多くの緩和ケアの医療者や研究者を集めて感情スコアのアノテーションガイドラインの作成やアノテーションを実施することが出れば、緩和ケア特化型の感情分析手法の確立が可能であると考える。
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