2022 Fiscal Year Research-status Report
界面活性剤の経口摂取による死亡メカニズムの実験的検討
Project/Area Number |
22K21173
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
竹居 セラ 香川大学, 医学部, 助教 (00962838)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 法中毒 / 界面活性剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医解剖では、界面活性剤を経口摂取した事例をしばしば経験する。このような事例では、死亡前の状況推定や死因判定のために臓器傷害の評価や生体試料中の界面活性剤の濃度測定が重要となるが、これらの検査を同時に行った実験的検討はない。そこで本研究では、界面活性剤の一種である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の経口摂取による血液や尿などの液体試料中のその濃度および、臓器傷害について検討する。実験では、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および、そのうちアルキル基の炭素数が12であるドデシルベンゼンスルホン酸単体について測定を行うこととした。 界面活性剤をラットに経口投与したのちに、血液や尿などの液体試料中の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の濃度は液体クロマトグラフィータンデム質量分析計で測定する。本年は、その測定条件について検討を行った。また、界面活性剤をラットに経口投与した後の臓器傷害については、ラットを安楽死後に各種臓器を摘出し、それらを組織染色して評価する。本年はこの染色条件についても検討を行なった。安楽死させたラットから摘出した臓器標本について、固定方法(ホルマリン浸漬または未固定)および包埋方法(パラフィン、または凍結組織用コンパウンド包埋)の条件について検討し、これらの標本から薄切切片を作製した。これらの切片について、さらにヘマトキシリン-エオジン染色およびオイルレッドO 染色を行うのに適した染色条件の検討を行なった。 また、ラットへの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の投与条件についても検討し、実験を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
試薬などの納品および、動物実験計画書の作成および申請が遅滞したため。 また、計画申請時よりも、他業務に充てる時間配分が多くなってしまい、研究進捗が遅れてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画書に沿った動物実験の施行。すなわち、鎮静下のラットに界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸)を経口投与したのちに、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計による血液など液体試料中の界面活性剤濃度の測定、および各種臓器から作製した切片の組織染色をもって、界面活性剤による臓器傷害について評価する。
|
Causes of Carryover |
実験の進行が遅れたことにより、今年度の使用額が想定よりも低かったため。 次年度使用額分は、当初より予定していた動物実験における動物などの購入に充てる予定である。
|