2023 Fiscal Year Research-status Report
界面活性剤の経口摂取による死亡メカニズムの実験的検討
Project/Area Number |
22K21173
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
竹居 セラ 香川大学, 医学部, 助教 (00962838)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
|
Keywords | 法中毒 / 法医学 / 界面活性剤 / 法医病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医解剖では、界面活性剤を経口摂取した事例をしばしば経験する。このような事例では、死亡前の状況推定や死因判定のために臓器傷害や解剖時に採取した試料中の界面活性剤濃度を評価することが重要となるが、これらの検査所見を同時に評価した実験はこれまでのところない。 そこで本研究では、界面活性剤の一種である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のうち、アルキル基の炭素数12であるドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)をラットに経口投与し、一定時間経過後に採取した試料について、染色検査による組織学的評価と液体クロマトグラフィータンデム質量分析計を用いた各種試料中のDBS濃度の評価を行うこととした。 本年は、実験計画書に沿って、以下の通り2種の動物実験を行った。①6-8週齢のWistar系ラットに対して、12時間の絶食後に生理食塩水(生食)を経口投与し、投与後1/ 3/ 6/ 12時間後、1日後に、それぞれ麻酔下に尾静脈から採血を行った。生食投与から1日経過した時点で、ラットは麻酔薬の大量投与(ペントバルビタールナトリウムの腹腔内投与)により安楽死させた。②別の6-8週齢のWistar系ラットについて、12時間の絶食後に界面活性剤溶液(250 mg/kg)または同量の生食を経口投与した。生理食塩水を投与したラットは投与後0時間(投与直後)、界面活性剤溶液を投与したラットでは投与後1/ 6/ 12時間後、1日後に、前述の方法により安楽死させたのちに臓器試料(脳、消化管、肺臓、肝臓、腎臓等)および液体試料(血液、尿等)を採取した。 報告時点では、採取後の臓器試料の一部についてホルマリン固定パラフィン包埋薄切切片を作製し、組織学的評価を行うためにHE染色を行なった。また、臓器試料の一部および液体試料は液体クロマトグラフィー質量分析法による界面活性剤濃度の測定を行うために凍結保存している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画申請時よりも、他業務に充てる時間配分が多くなってしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、計画書に沿った動物実験を施行する。これとともに、これまで界面活性剤を投与したラットから得られた試料について、組織染色による臓器の形態、および機器分析による投与後の界面活性剤濃度について評価を行う。
|
Causes of Carryover |
実験の進行が遅れたため、使用した総額が年度初めの想定よりも低くなったため。次年度使用分は、当初より予定していた実験計画を継続して実行するために、実験動物や試薬の購入、および学会発表の旅費に充てる予定である。
|