2022 Fiscal Year Research-status Report
ロタウイルスワクチンの定期接種化と感染性胃腸炎および腸重積症の発症に関する研究
Project/Area Number |
22K21174
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 恵 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (80961573)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | ロタウイルスワクチン / 感染性胃腸炎 / 腸重積症 / レセプトデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コホート研究「LIFE Study」において自治体より提供を受けた予防接種台帳及び国民健康保険加入者の医療レセプトデータを突合することでロタウイルスワクチンの接種群と非接種群との比較を可能とし、ワクチンの有効性・安全性を明らかにすることである。さらに、小児ワクチンの有効性・安全性評価のモニタリングを実施するためのデータベース構築およびデータベースを活用した有効的な評価方法の検討を目指している。 そのため、2022年度には、主に解析用データベースの構築に着手し、ロタウイルスワクチンの予防接種台帳と医療レセプトデータを突合させてワクチン接種群と非接種群との比較が可能なデータベースを準備した。現時点では、2019年6月~2022年5月までの約2万人分のロタウイルスワクチン接種者が把握され、そのうちの約10%にあたる約2,500人について医療レセプトとの突合が可能となっている。一方で、効果の比較対象者になるロタウイルスワクチンの非接種群についても同じ期間において医療レセプト上で約1,200人が含まれていることが確認できた。また、ロタウイルスワクチンの有効性を評価する期間としては、2019年度のワクチン接種者において最大で約3年間の追跡を可能とするデータベースが構築できている。今後は、構築したデータベースで解析を実施し、学会発表や原著論文発表により成果の公表を進めていく予定である。さらに、乳幼児健診結果の提供をいただいている自治体もあるため、ワクチン接種者の特徴把握および有効性評価時の調整変数として含める方法を検討していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、予防接種台帳及び国民健康保険加入者の医療レセプトデータを突合することでロタウイルスワクチンの接種群と非接種群の2群を設定し、ワクチンの有効性・安全性を明らかにすることである。具体的な評価方法としては、①ロタウイルスワクチンの有効性(ロタウイルス胃腸炎による入院の有無を比較)、②ロタウイルスワクチンの安全性(1回目接種後1~2週間以内の腸重積症発症の有無を比較)、③ワクチン非接種群の家族(両親)に関する特徴の把握といった3点を明らかにしていく方針である。当初の予定としては、2022年度中にこれら3つの解析まで実施することを予定していたが、現状として解析データベース構築までの進捗にとどまったため、(3)やや遅れていると判断した。しかし、解析データベースを構築することで、上記3点の解析を実施する上で必要となる非接種群の確保が可能であることは確認することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は予定していた解析を実施し、学会発表や原著論文発表による成果の公表を進めていく予定である。さらに、小児ワクチンの有効性・安全性評価のモニタリングを実施するための有効的な評価方法の検討を目指す。 解析データを構築していくなかで、ロタウイルスワクチンが定期接種化された2020年10月以降、ワクチンの接種者が増えている傾向が認められている。そのため、解析③ワクチン非接種群の家族(両親)に関する特徴の把握において、定期接種化開始の前後でどのような家庭の小児が定期接種化をきっかけにワクチンを接種するようになっていたかについても追加で明らかにしていきたいと考えている。また、予防接種台帳に加えて、乳幼児健診等のデータもあわせて提供を受けている自治体においては、詳細な小児の特徴も含めた解析についても検討を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
2022年度は成果の公表が未実施のため、学会発表や論文投稿に要する費用の計上が予定額を下回った。そのため、費用を2023年度に繰り越し成果物の公表にかかる費用として計上する。
|