2022 Fiscal Year Research-status Report
妊娠期から出産後1年未満の母子結核事例の予防可能性の検討
Project/Area Number |
22K21178
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
島村 珠枝 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (30784087)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 結核 / 妊娠 / 出産 / 育児 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児の接触者健診では感染経路が判明している場合、その感染源の半数以上が両親であるといわれている。母親が妊娠中に気づかずに結核を発病し、出産を迎えた場合、産院での集団感染や児への感染・発病・重症化のリスクを伴うことになる。我が国の結核登録システムでは、結核患者の妊娠や育児期の女性であることについては統計上把握することはできない。本研究では、兵庫県内の保健所を対象とした調査を行い、母児の結核事例の実態を把握する。そのうえで、各事例の詳細な検討を行うことで、接触者健診の規模や結核発病もしくは潜在性結核感染症治療を開始するなどの影響がどの程度見られるかを明らかにする。事例検討から各事例の類似性や相違性を検討し、特に妊娠期から出産後1年未満の育児期の女性の結核の早期発見の対策について提言をまとめることを目的とする。母児の結核事例の報告は多数見られるものの、保健所の把握する情報をもとに行われた研究はほとんどなく、本研究は今後の結核対策への提言を行う上で貴重な資料となりうる。 令和4年度には文献検索を実施した。文献検討では、2010年以降、国内で113件の妊娠期から乳児期の母児感染事例の報告が見られるが、そのほとんどは医療機関での症例報告であり、院内感染対策を主眼として執筆されているものが多い。保健所での支援や接触者健診についての報告は2件の学会発表にとどまっており、妊娠期から出産後1年未満の主に母親の結核の早期発見に関する文献はほとんど見られない。国外においては、2010年以降14件の先天性結核の報告があり、アメリカでもNICUにおける結核対策への必要性が述べられているが、母親の結核を早期発見し、適切な対応をとるための方策について十分に述べられている文献はほとんど見られない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19流行に伴い、保健所に業務過多が生じており、保健所への調査の打診を行うことができなかった。加えて、所属機関における予期せぬ人員不足が生じたため業務の負荷が多大であったことに加え、他研究のエフォートが想定以上に大きく、本研究にエフォートを割くことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、文献検討を元に質問紙を作成する準備を進めている。今年度中に保健所への調査を実施し、分析を行えるよう、先方との調整を行っている。場合によっては、当初の計画をマイナーチェンジしながら進めることを検討する。
|
Causes of Carryover |
当初の予定では、初年度に調査を実施する予定であったが、Covid-19流行に伴い調査を行うことができなかったため、設備備品費のデータ分析ソフト及びインストール用パソコン、分析関連書籍、消耗品のトナーカートリッジや印刷用紙の購入を行わなかった。また、調査に係る旅費や研究協力者への謝品、データ入力委託費用等も調査が実施できなかったため、執行できていない状況である。上記を含めた令和4年度未執行分については、令和5年度に繰越し、執行する予定である。
|