2022 Fiscal Year Research-status Report
Does the effect of applying hot towels on ankle joints lead to fall prevention in the elderly?
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22K21180
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Research Institution | Miyazaki Prefectual Nursing University |
Principal Investigator |
郡 ハルミ 宮崎県立看護大学, 看護学部, 助手 (20952360)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 介護予防 / 高齢者 / 熱布温罨法 / 転倒予防支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「立位バランスに必要な足部関節の柔軟性を高めるための熱布温罨法を介護予防の必要な高齢者に行い、その効果について明らかにするとともに、転倒予防支援としての有効性について明らかにする」ことが目的である。 1.「高齢者にむけた看護師が行う温罨法研究の動向と成果:文献レビュー」 高齢者の足に向けた温罨法研究の基礎資料のため、文献レビューを行った結果、高齢者にむけた看護師が行う温罨法は、安全性が検証され、その温熱効果により身体的・精神的症状の緩和やADLの拡大、精神的安寧につながり、排泄機能や睡眠の質改善にも効果をもたらしていた。温罨法のADL拡大効果は、直接的な効果ではなく、痛みや睡眠の改善で得られる二次的な効果であった。高齢者の転倒予防支援に向けた温罨法の効果について検証されたものはなく、ADL拡大につながる直接的効果や安全性について検証していくと共に、高齢者の転倒予防支援としての有効性について検証する必要性を得た。 2.「熱布温罨法が足部に及ぼす生理学的変化~足浴との比較検証~」 熱布温罨法が足浴の温熱効果と同等の効果が得られる方法を事前に検討し、熱布温罨法が足部に及ぼす生理学的変化について足浴と比較検証することを目的とし、若年健常者26名に実施した。温罨法の深部温度0.577±0.412、足浴の深部温度0.588±0.313、非劣性マージン△0.29とし、信頼区間90%で片側P値<0.01であり、非劣性であることが明らかとなった。本研究の熱布温罨法の方法は安全性が確認され、深部温度変化は足浴と比べ劣っていないことが明らかとなった。血圧、脈拍における変動の有意差から、循環動態が安定するのは座位より臥位であることが考えられた。両条件で足部の背屈角度と足趾把持力の有意な向上がみられ、温めの効果が足の柔軟性を向上させ、それにより足趾力が発揮されやすくなったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度からの計画は、 「熱布温罨法が足部に及ぼす生理学的変化~足浴との比較~」(以後、本研究)を計画、実施することであったがその前に、文献レビューを行い熱布温罨法で転倒予防に向けた研究は未発表であることを確認した(看護師が高齢者に行う温罨法研究の動向と成果について発表)。温罨法の中でも熱布温罨法は簡便な方法ではあるが、短時間で冷めやすいことが考えられる。まずは先行研究で転倒予防に効果があることが検証された足浴と同等の効果が得られる熱布温罨法の方法について事前検証し、実施方法を精選した。本研究では、精選した実施方法を用い、熱布温罨法と足浴が生体に及ぼす生理学的変化の比較検証を行った。対象は、申請者の所属する機関内に募り、27名の参加同意を得られたが1名が体調不良で脱落し26名であった(目標予定25名)。男子学生のみを募集する予定であったが集まらずに男性5名女性21名が対象となったため、性周期バランスや日内変動を十分に考慮した実施となった。2023年1月21日(土)に介入を開始し、2023年3月20日(月)に終了し、分析した。その結果、熱布温罨法が足浴の温めの効果(深部温度変化)は劣っていないこと(非劣性検定片側P値<0.01)や有害事象がなかったことから安全性についても確認ができた。 以上のことから、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度からの計画は 「熱布温罨法が介護予防の必要な高齢者への転倒予防につながるのか」(以後、本研究)である。令和4年度に「熱布温罨法が足部に及ぼす生理学的変化~足浴との比較~」で実施した熱布温罨法の方法で、足浴に劣らない温めの効果が得られたことや安全性が確認されたため、本研究にむけて研究計画書を作成し、研究者の所属する倫理委員会に申請中である。研究計画書の表題については、「介護予防の必要な高齢者の転倒予防支援にむけたフットケア~熱布温罨法が足部関節の柔軟性に及ぼす効果の検証~」に変更して倫理委員会に提出しているが、目的や内容について変更はない。遂行する上での課題は、感染対策上における施設の受け入れ困難な可能性があることである。COVID-19が5月より感染症分類5類に引き下げられることもあり、施設の受け入れ状況について緩和されることを期待しているところである。
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Causes of Carryover |
令和4年度では、健康若年者を対象とした基礎的研究として足浴と温罨法の比較検証を行い、安全性の確証と足浴と同様の温めの効果が得られる温罨法の方法を確立した。令和5年度では本研究の核心である、熱布温罨法の足部関節に及ぼす効果が高齢者の転倒予防につながるかを実験検証する段階に移る。現在在籍する大学で研究計画の倫理審査中である。その実施においては、転倒予防支援としての有効性評価として足圧分布器を用いる計画をしている。よってその足圧分布器を購入することや、測定機器周辺の雑費、研究補助者雇用費、謝礼費に予算を充てる。
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Research Products
(1 results)