2023 Fiscal Year Annual Research Report
毛髪内ステロイドイメージングによる疾患予測アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
22K21203
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
橋本 篤 金沢大学, 融合科学系, 博士研究員 (00623654)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ステロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、LC/MSを用いて、毛髪からステロイドを完全に抽出する前処理の工程を検証した。標準物質を保有していたステロイドのうち、プロゲステロン、コルチゾール、コルチゾン、デヒドロテストステロン、アンドロステンジオンが高感度に検出され、検出条件を確立した。従来の毛髪中のステロイド定量方法では、前処理は18 時間を要したが、本法では2時間で実施可能となった。 また、MALDIを用いた毛髪のステロイドイメージング手法に関しては、光学顕微鏡と医療用メスを用いて毛髪を0.04 mm の厚さに縦断し、スライスを作成することに成功した。その後、ジラール試薬で誘導体化し、前述5種のステロイド代謝物が検出可能となった。少人数での検討ではあるが、個人によってステロイドイメージングパターンが異なっており、その原因について考察中である。 毛髪中の5種のステロイドホルモンの定量および、ステロイド化合物の局在イメージングも可能となった。今後は、MALDIとSALDIで感度比較を実施し、さらに多くのステロイドの測定を目指す。 人工知能技術を用いた時系列予測アルゴリズムの構築は、MSイメージングの結果が、十分集積されなかったことから、検討できなかった。 毛髪は、非侵襲的に入手可能な生体試料である。毛髪検査は、検体採取のために医療機関を受診する必要がなく、自宅で痛みを伴わず入手可能であり遠隔診療の普及と相性の良い手法である。今回の研究成果により未来の医療の選択肢が広がった可能性がある。
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