2023 Fiscal Year Research-status Report
Evaluating efficacy of transcranial static magnetic stimulation in rehabilitation of hemiplegic stroke patients
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22K21224
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Research Institution | Wakayama Professional University of Rehabilitation |
Principal Investigator |
湯川 喜裕 和歌山リハビリテーション専門職大学, 健康科学部, 講師 (20967260)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 経頭蓋静磁場刺激 / 脳卒中片麻痺 / リハビリテーション / 治療効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中後の重度運動麻痺などの障害は我が国の要介護原因の第一位であるため,その解決は大変重要な課題である.近年,脳卒中後の運動麻痺の機能回復を高める非侵襲的脳刺激法(Non-Invasive Brain Stimulation;NIBS)が注目されている.NIBSの代表的な一つに低頻度反復経頭蓋磁気刺激(Low frequency‐repetitive Transcranial Magnetic Stimulation;Lf‐rTMS )がある.Lf‐rTMSは,損傷半球の脳内の可塑性を高めることが可能であり,リハビリテーションとの併用で運動機能回復をさらに高めることが立証されている.しかし,rTMSの機器は非常に高価で様々な制約があり,臨床現場において容易に導入できず普及されないのが現状である. 一方,近年,新たなNIBSの一つとして注目されている経頭蓋静磁場刺刺激(transcranial Static Magnetic Stimulation;tSMS)がある.tSMSは,強力な永久磁石を頭表に留置するのみで,脳内の興奮状態を抑制することが明らかとなっている.tSMSは,けいれん誘発や火傷などのリスクはなく,永久磁石のみを用いるため特殊な設備を必要とせず,刺激中もリハビリテーションと併用することが可能である.そこで,我々は,Lf‐rTMSの代用として,安心・安価・簡便なtSMSの臨床応用への可能性に着目している.しかしながら,tSMSが脳卒中後の運動麻痺の機能回復を促進するのかについては明らかにされていない. 本研究の目的は,Lf‐rTMSと同様にtSMSが脳卒中後の運動麻痺の機能回復を高めることができるのかについて臨床的有効性を検証することである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在,tSMSを用いた脳卒中片麻痺患者に対するリハビリテーションの有効性について,多施設間共同研究を継続して実施している段階である.共同研究施設は,順調に獲得できているが取り込み基準を満たす症例が少ないなどの経緯があり,当初予定していたリクルート人数には至っていない.しかし,現時点では,経頭蓋静磁場刺激の有害事象の報告もなく,数例ではあるがtSMSとリハビリテーションを併用することで上肢の運動麻痺の治療成績が向上している.このため,今後も,共同研究施設の獲得を継続し,症例数の確保に尽力したいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
新たな共同研究施設の獲得の継続と,共同研究施設での臨床研究が円滑に遂行できるように助言や援助を積極的に行っていきたいと考える.そして,症例数を満たした上で,脳卒中片麻痺患者の運動麻痺を改善させる治療法として,tSMSとリハビリテーションの併用療法効果について成果発表を行っていく.
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Causes of Carryover |
多施設間共同研究を実施するため,tSMS用のネオジム磁石と比較試験で用いるsham用のステンレス塊(モックアップ),磁石を留置しながらリハビリテーションを行う専用ヘルメット,リハビリテーションを支援するための治療機器などが施設数に応じて必要であった.また,上肢運動麻痺の臨床効果判定に必要な評価機器も複数必要であった.旅費に関しては,共同研究の依頼を行うための交通費が主な使用用途であった.今後も,新たな共同研究施設が獲得された際は,治療機器や評価機器の継続した提供が必要である.また,研究成果の発表として,学会参加費,国際誌投稿に向けた英文校正費ならびに国際誌論文掲載料が必要になると考える.
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